用語

解説

赤免許


シャードの持つ医療免許。それを取得するには様々な学科を好成績で収める他、
世界を唸らす研究発表やしっかりとした根回しが必要で、権威も実力も名誉も欲しいままに出来るフリーパス。
小国であれば国家さえも動かす事が出来るといわれるその取得率は半世紀に一人いればいいと言われている。

亜人


人と人ならざる者の血を持つ存在。身体的な力以外にも目に見えない何かを使う者も多く、
その力がなんという名で呼ばれていたのかは戦時中に禁句とされて以来伝わる事は無い。
エファルにこの罪で入所させられると無期懲役が決定事項であり、永住させられる事になる。
嘗ては様々な亜人の種族が西の大陸にいたが、戦争に負けた際に一斉虐殺、実験対象としての
捕獲が横行しその数は激減、人と交わった亜なる存在もまた同様に年月を掛けて徐々に駆逐されていった。
少数ながら現在に生きる者も、隠れ潜み、或いは時代を受け止め人の中にひっそりと混じるしか無かった。
それまで人と思い生きてきたがある日突然亜人だと告げられて自分を知る者もいれば、
一生己がそうであると知らないままの者もおり、そして何かの拍子で偶然に知った場合大抵人生が狂ってしまうという。

亜人狩り


戦争終結後勝利した東側各国により行なわれた正義の行動。
邪なる者と交わった間違った人類の血を広めない為に亜人を殺す事はどれだけ非があろうが
ただの民間人であろうが如何なる場合においても処刑される事は無く、正当化された。
賞賛を進めるのが勝利国の連盟における方針であり、異を唱えた集団も幾つかいたが悉く弾圧、
抹殺され、勝者が正しいという理論が戦争後極端になった世界に更に拍車をかける出来事として
それらの制裁は盛大に情報として流れた。
人と交わる存在自体を排除するものとして亜種狩りも過去同義に行なわれていた。今は殆ど亜種自体がいない。

エリバ公国


エルレイン王国を西の大陸に創った大本の国。規模は狭いが元来の狡猾な頭脳を遺憾なく発揮し、
戦時中明晰な政治力と分析、解析力を用いて東側に勝利を齎した奇跡の国と呼ばれている。
その際の多大な貢献は現行の国際連盟においても強い影響力を持ち、現在の権力は殆どの大国を凌いで
殆ど自由に遊ばせて貰える程。そのお膝元にあるエルレイン王国も同様に権力を持っていると言える。
重要視されていなかった戦争前も、造られる精密な機械は各国で使用されており、
工業を基盤とした国外への進出も度々有った為底力を恐れる国は多かったという。
立国の際の歴史を重んじ公国という定義にはされているが、実権は数多の国を凌ぐものがある。

エルデリオン改


エファル地区の住人達が購入、使用する薬の中で現在最も強力とされ、又高額であるが共に与えられる境地に
夢見る者が後を絶えない。この味を力を覚えたら他の薬なんてやってられないというのが消費者の素直な意見で、
その為に破産したり、他の薬を受け付けられなくなり信者となって例え破産しても他の安価の薬に手を出せず
中毒症状に苛まれ廃人と化したり、又購入資金が無くなって起こる犯罪も増加したという。
その為ストレンジにて特定のランクに入った者にだけ購入権を与える法律まで出来、
現在常用しているのはツェンバーを初めとした数名だけである。

エルレイン王国


東の外れにある本国が勢力を拡大し、様々な面で多くの国を裏から操る手腕を誇った後の形。
元は小国であったエリバ公国が戦争へ着手する拠点として街を、またその戦争での勝利を機に、
それまでも着々と影から四方八方に伸ばされていた力を表に出した結果、
西の大陸を開発する重要拠点として正式に第二の自国として名乗る事を許された。
エリバ公国の産業を受け継ぎ、発展は製造工場等の増加と共にある。基本的に資源を還元する考え方が無いので、
時にその影響として廃水や煙による環境悪化や大地の汚染も深刻として取り上げられるも、それに縋る以外人に生きる術は無い。

エファル地区


エルレイン王国における最低汚染区域指定のなされた、犯罪者と亜人だけが住む街。
一般市民は立ち入りを禁止されており誤って迷い込んだ場合罰則。付近の地区はその影響か人口が少ない。
又其処の住人達も仕事の都合上などでやむを得ずその街以外に出入りをする際厳しく監視され、
脱走などを危惧しての普段からのチェックもかなり厳重。セキュリティの面では皮肉にも王宮以上に一番信頼がおける。
元々はその数の膨大さに一大コミュニティを与えなければ氾濫を起こしそうになっていた犯罪者に加え、
同じく亜人狩り後研究サンプルの名目にしても多くなり過ぎた亜人を一括で処理する為に
統括して監視出来る場所を設ける意味で国の一角、特に産業発展の悪影響が一番出ていて、
無論土地質も良くなく穀物さえ育てられない他に使い道の無い事からこの地区を与えられたが、
逆に牢獄の中や研究施設よりもある程度の自由を与えられたこの街の方が余程快適で生き易く、
年々着々住人達によって住みよい場所に変えられている。

怪物


エルレイン王国の周辺に跋扈するその存在は、皮肉にもストレンジャー、即ち異邦人と呼ばれ
エファル地区で盛んなストレンジに酷似したその名前は嘗ての亜人同様脅威として見做される。
一般区画の住民達は日頃ニュースで流される怪物出現情報で国外への出入りスケジュールを決め、
それを退治するのが公共で蔑まれる事を認定されたエファル地区の住民である事も知らない者が多い。
いっそヒーロー視する者さえ多くあるが、それなりに国民の士気が上がるので敢て真実としての情報は流れない。
戦闘不能、或いは死亡した怪物は、実験体として捕獲されるか焼却処分されるかの二つが道。

傀儡政権


エルレイン王国の正統な王としての実権は現在シクォーテルにあるが、実質政治面を動かしているのは王宮の古株であり、
帝王学を一応学んでもいるが国も国民もどうでもいいというやる気の無い彼の性格を利用して、好き放題している。
前王、つまりシクォーテルの父親はエリバ公国の考え方とは大きく、否全く違う性質を持った異端児であり、
カリスマ性も発揮して大きな改革がなされようとしていた。それは例えば、亜人狩りはいけない事なのではないかと
民衆に説くものであり、その見過ごせない事態に本国から暗殺が決定、実行された。
以降は正しくエリバの精神を受け継いだ長老陣が、よもや前王のような間違った思想を子が持ちかねないと
出来るだけ甘やかしては言いなりになるよう育ててきた。自分で動く事は無いのだと教え込んだ。
危惧の念が起こした行動の答えが、危惧の立ち去った現状となる。

火竜


人と交わった人ならざる者の一種で、最強の強さとその称号を恣にしていた今では伝説上だけの生きもの。
見上げる空を覆える程の巨躯と、更に夜の暗がりを与える両翼と、街一つ簡単に潰せる手足に
太陽さえも一睨みでしりぞかせる眼、雪の積もる嶺よりも白き牙に毒々しく禍々しい爪、
触れただけで一瞬の内に融かされる灼熱の肌、融けたものが硬質化したのだというおどろおどろしい黒い鱗。
言葉を尽くして恐怖と尊厳を込めた表現がなされたそれも過去の事、元々の現存数が少なかった存在は
人側にも多くの犠牲を払ってしかし確かに完全なる絶滅を辿った。共存を一方的に裏切った人類を呪い、憎み、哀しんだ。
中には東西の違いなどはどうでもいい、だが種族間のいざこざで人に殺されるくらいならと自害した集落もあったという。
なんとか狩りの手をのがれ生き延びる事が出来たのは、純粋な竜と人の血が合わさったのがもう何代も前の、
体躯も人に近くなってきた血の薄い亜人だけであり、それさえも稀少中の稀少。
その事からもツェンバーは特別とされ、格別の恐怖と軽蔑の視線を施される結果になる。


エファル地区に住まう者達は稼いだ金で衣食住を手に入れるが、それと同様に当たり前に考えられるのが薬であり、
始めは牢獄や研究所での強制、エファルが出来てから直接其処に入れられた者は初回配布という形で与えられる。
中毒症状の苦しみからのがれる為に以降買う事を余儀なくされるそれは、現在出回っているだけで百以上とも。
配布してまで薬を与えるのは、絶対者が誰か植え付ける精神面での意味と、大枚をはたいて継続する点に着目した
金銭の搾取と、他に一般区画の者達に使わせる、試作品を実用化可能かどうか見る体のいい実験体の側面がある。

下水道


一般区画に出入り出来ないよう分厚い扉で閉ざされてはいるが一番手薄であるのも事実で、
脱走しようとする者が始めに試してみるのが先ずここだと言われる。何人か成功者もいた。
上記の理由で基本的には隔絶されているが、そうしなければならない程普通の世界に近しい場所。
例えば其処から流れてくるゴミを拾って売り物としたり、散らばる死体から金品を頂戴したり、
通じる者が外にいる場合は手紙を流してと連絡手段にも使われる。
しかし、数年前から化け物の主と呼ばれる存在がいると言われており、その本体を見たという者はいないが
行方不明者が続発、売り物探索に降りた者が白骨化した死体を発見する事も多くなった。
元々一体なんの存在なのか不明な生きものは跋扈していたが何れもエファルの住人達で手に負えないものではなく、
この事態に王宮からも何度か派遣、捜索が行われたが確証を得る事は未だ出来ていない。
封鎖も一時考えられたが犯罪者や亜人が幾ら死のうが関係は無いと保留。但し一般区画に侵入されては困ると
殊更封印は厳重となり、密通がし難くなった事に対して化け物に腹を立てる者もいる。
取り敢えずの対応は、一つを除いてエファル中のマンホール及び出入り口の一斉封鎖であるが、あまり意味は無い。
同理由で化け物に関しての有力な情報や発見、捕獲した者には賞金が出される事になった為、
命の危険を顧みず下水道に潜る者が多かったものの、ガセが多くなるにつれただの情報には現在賞金は出なくなった。
これらのメリットデメリットを考えた結果今更誰も潜ろうとは思わない。

下水道の神子


八年前下水道から突然現れた、謎の少女。ツェンバーの事。
下水道から一般区画に逃げ込もうとする者は多くいるが、見た事も無い、親も周囲にいない、
小さな女の子が何を間違ってエファル地区に現れ、しかも何を思ってか亜人と認定される前から
其処に住み着いたのだから当時は話題騒然、今でも懐かしむようにその昔話は語り継がれる。
牢獄や研究所から街に放り出された今や数少ないエファルの老人達は特に可愛がって、
正体不明の不気味な、それも火竜の亜人にして現在は咎の女王と呼ばれるツェンバーを
王宮の老人達は忌嫌い蔑み、せせら笑ってと、理由は其々違うが、同じようにそう呼んでいる。

国防任務


国外に跋扈する怪物、ストレンジャーを排除する事。その任務に付くのはエファル地区で行なわれる
ストレンジにて強さを認定された者で、大凡の犯罪者や亜人は薬によって感覚がおかしくなっていなくとも
充分一般の者より強く、ここ数年そのメンバーに変動は無い。危険な任務の為死者も多く、捨て駒の意味もあって
エファルより選出が行なわれている。蔓延る怪物を公式発表では亜種狩り、亜人狩りをのがれた
東側にとっては穢れた存在の生き残りだとしている。つまり現行の亜人狩りそのもの。
任務に就き、怪物を倒せばその数に見合った給料が与えられ、罪人であれば服役期間が短くもなるが、
現在任務に当たる三人とも亜人である為、問答無用で無期懲役中。
これに着く事で服役の任期終了、一般区画に返ったという者もいれば、怪物に殺された者、精神が狂った者もいる。

国際連盟


通称国連。戦争前は西側の者もいたが、終了後は東側の、特に戦争時に活躍したり亜人狩りの功績国が
その名を連ねている。加盟国は現存する殆ど。
その中でも一番強い影響力を持つのがエリバ公国、そのお膝元のエルレイン王国である。

国連最高医師会


国際連盟において各国の特に優れた医師達が名を連ねる会。入るだけで最高の名誉とされ、
総勢二十名によって其々の医療体型の改革、研究が日夜行なわれている。またその中でも
幾つかランクが有り、シャードの保有する赤免許はエースの証、医師会の最高責任者の次に
偉い位置付けになる。エファル地区に突然居着いてしまったシャードをなんとか本部に呼び戻そうと
毎日勧告文や使者を派遣してくるが悉く失敗、その行動の奇天烈さに現在除名も考えられているが、
有能さ故にすっぱりと切ってしまう事が出来ず、最近の悩みの種。

最低汚染区域指定


毎年国際連盟に加盟する各国の中から、特に問題ありとする都市、地域が選ばれる不名誉なもの。
本来は、このようなものを与えられないよう尽力せよという反面教師的な意味合いを込めているが、
エファル地区程酷いところ、というのもそう無く、このエルレイン王国の公共のいじめ体制を見て犯罪者地区を造る等
真似する国も増えてきているが、矢張りその汚染状況において勝る事は出来ない。
逆に今では、これがエファルの称号だと喜ぶ者もいる始末で、この制度の始めの意味は何処に行ったのか。

守衛


エファル地区と一般区域の入口に立つ仕事。脱走と侵入、両方の面を見張らなければならない。
だがわざわざ守衛の立つ場所からどうこうしようという者もおらず、基本的には暇。
下記の連絡員同様、殆ど左遷と同じ。しかし左遷されるような輩の見張りなので何かと問題が多く、
人事異動が絶えない。中にはエファルの住民と共に脱走した者もいる。
交代制で、朝昼夜に二人一組で配属される。封鎖、或いは落石等天災で通れない道もあり、
現在通行出来るのは一つだけ。よって守衛がいるのもその一つだけで、今年度から人員が大幅に削減された。
しかし逆に人手不足で一人辺りの労働時間過多の恐れがある。

ストレンジ


エファル地区で毎月行なわれる格闘大会の名称。ルールも形式も無し、死人が出ても全く問題が無い。
勝利条件は、降参を認めさせるか、戦闘不能状態にさせるか、そして相手を殺すかである。
好成績を残すと強者として認識され、エファルでのランク、要するに住み易さに直結する。
十位以内に入れば賞金が出、半年間五位以内に入り続ければエルデリオン改の購入権が与えられる。
一度でも落ちるとまた始めからやり直し、一位から三位は殆ど決まりきってしまっている為、
現在エルデリオン改を服用しているのはほんの僅か。このエルデリオン改が与える力、
それが上位を固定しているのではと一時デモも起きたが、試しにエルデリオン改を服用させず
参加させてみたところ結果変わらず、寧ろ凶暴になったツェンバーによって死者が多数となり、この件は流れた。
一連の流れとしては、エファル地区にいる住民であれば誰でも参加出来、今月の大会に出場したければ登録を行なう。
人数に決まりは無く、登録した全員でトーナメント形式に勝ち上がり一位を求めるものだが、
三位まではシード権が与えられ、そしてその三位までが殆ど定位置化してしまっている為最近少しマンネリ気味。

ストレンジギャンブル


専ら競人と略される。競馬から捩ったものと推測され、読みはけいじん。
ストレンジ開始時に売人が現れ、誰が勝者となるかの賭けを募る。この時以外は売人は殆ど他の職に就いている。
賭ける人が決まっていては、番狂わせも起きなければ、良い収入は得られないからだ。
近年下火といわれるが、その割に人口が増えているのは、ストレンジ自体に出場してもまぐれで四位に入れればいいところで、
危険に対する見返りが少ないからだろうか。

ストレンジサーカス


年に一度行なわれる、ストレンジの一種。月一のストレンジはこの予選でも有り、賞金額が通常よりもぐんと上がる。
それまでの総合結果と、このストレンジサーカスでの成績を元に国防任務に当たる者が決定する。
又特例として、ストレンジサーカスにて五位以内に入賞した者にはその時だけエルデリオン改購入権が。
勿論ルール無用、誰を殺そうとそれは殺される弱さで出場した者が悪いとされる。

ストレンジャー


怪物の別名。ツェンバー達は専ら此方で呼んでいる。その存在がなんであるのか、
国の発表では狩りをのがれた亜種、亜人の残りとしているが、直接見た者であれば判る、明らかにその類いとは異なる容姿で、
脳みそは殆ど使いものになっていない。言語能力も乏しく、ランクB以下では会話出来るものは0に近い。
亜種とは人と人が飼い慣らした動物以外、東側に存在しない生命体の事を指すものであり、
それらの多くは頭脳を持ち、人語を解する者の為、その点からも両者の違いは浮き彫りになる。
エルレイン王国の周辺を跋扈している理由は亜人狩りを先頭に立って指揮した国だからとするが、
盛んに行っていた他の国にそうそう現れるという話は無い。

戦争


一般的には、小国同士の内紛では無く、百年以上前、東側の大陸と西側の大陸の間に起きた東西戦争の事を指す。
そもそも何故戦争が起こったのかといえば、亜種や亜人の力に脅威を感じたただの人が攻め入ったからであり、
一方的に東側から突然襲われ、応戦した西側には本来ならば非は無かった。しかし負けた者の言い分などは、通用しない。
まだ一つの大陸であった頃は互いに交流を深めていたが、天変地異により大地が二つに裂かれ、文化は大きく分かれていった。
亜種が元々少数しか生息していなかった為深く関わる事も無く、その存在を恐れたり排除したりしていた科学的発展の大きい東側。
多くの亜種が残り人と暮らし、神と讃えられたり力を合わせて共存したり、交配も当たり前とされ、芸術的発展の大きかった西側。
互いに関わり合わぬのが吉と、条約による不可侵にて保たれていた均衡だった。
戦争の起こったもう一つの理由として、険しい山脈や作物の育たない土地などあまり人の住み良いとは言えなかった東側が、
面積的にも環境的にも豊かな大地を求め、侵略の意味で行なわれたとも言われている。
実際、戦争終了後エルレイン王国を基点として幾つもの場所に新たな国が設けられ、人々の移住が行なわれた。
まだまだその領土を拡大せんと国際連合は各国に土地を割り振っている。

線路


エファル地区中に其処彼処走る線路は、その地区の立地条件上国外の輸出入路としてはのがせないものであり、
しかし一般人や外国人にはとても此処は見せられないという理由で基本貨物列車限定で縦横無尽に四六時中直走っている。
殆どは一般区画において使われなくなった蒸気機関車が流用され、
なまもの輸送の速度重視からストレンジャーの攻撃を危惧しての防御重視と様々あるらしい。
時に重要な貨物の場合は国防任務の一旦としてこの列車の護衛もあり、
その場合は大概が遠路の為他のストレンジャー出現に備えて大体一人か二人の出撃となる。

ツェインアローバ


火竜の別名。西の大陸に嘗てあったとある村では火竜を神と崇めており、そちらの言葉で”光の導べ”、
という意味でもあるその名で呼んでいた。元々は邪悪な存在として信じられてきていたのだが、この村で起こったある事件で
間違いだと考えを改め、それを広く知らせる為にこの村から発行された同名の絵本もある。本はベストセラーとなり瞬く間に
西の大陸全土へと広がって、火竜と人との交流が始まった。戦争終了後そのような思想は危険と東側が粗方処分したが、
芸術面において秀でていた西側の部分を取り入れようという考え方も有り、少数は各国に流れ、その他の書物や絵画と共に
民衆の手にも渡った。エルレイン王国、エファル地区にも読んだ事がある者や知っている者は多い。現在は廃盤となっている。

等級


ツェンバー達が排除するストレンジャー達にはその強さや種類によって等級が付けられ、S、A〜Dまでのクラスがある。
どのランクを倒したかによっても与えられる給与の金額が変わり、S級になると誰がやるかで一悶着起きる事も。
細かい規定は王宮側の定めるところであり、その判別を行なうのはシクォーテル直属の家臣で同行員のエインセル。
大体は大きさでその見分けもつき、人に近いものだと低め、大型で、亜種の血が如何にも入っていそうなものだと高ランクになる。

咎の女王


ツェンバーの別名。その名がつけられた正式な理由は不明だが、説は幾つかある。
罪な程強いだとか、エルデリオン改を独占し続けているのは罪であるとか、ツェンバー自身は鼻で笑うものばかりだが、
大方の流言はそのようなもので、老人達が下水道の神子と呼ぶのに対する、若者の為の言葉とも。

副作用


薬の乱用によって引き起こされる作用。精神に異常を来たしたり、或いは肉体の内部破壊が起こる。脳が完全にやられる事も。
この副作用の為に廃人となる者も多く、エファルの隅っこで歌い続けやがて野垂れ死んで清掃員に焼却処分されたり、
いきなり誰彼襲って警備員に殺されたりなどの返り討ちにあったり、その末路にはあまり良いものがあるとはいえない。
その抑制の為に皆ある程度の線を持って薬を服用しているが、強さを求めて、痛みを無視する為、立ち向かえない現実を見ないように、
など理由は其々で取り返しの付かない域に行ってしまう者が後を絶たない。
ツェンバーも薬を相当服用しているが、兆候を窺わせる事は無い。オーリィ化はまた別の問題と自身で述べている。

ヤハマ族


亜人の種族。ヤハンが最後の一人であり、そして最後の長だった。他の者はエルレイン王国筆頭の亜人狩りによって完全抹殺。
ヤハンは生きて捕らえられ今に到るが、逃亡中病死した者や楯となった者、同じく生きたまま捕虜にされ、研究対象として死亡した者も。
身体能力が高く、手足も長い。何よりも特徴的なのは己の体内で行われる骨の移動で、特別な構造をしている。
蛇とも相性が良く、共存していた為、入っている亜種の血はその関連では無いかと言われている。

連絡員


テッソ准尉の現在任命されている仕事。主な役割は王宮側と、エファル地区の橋渡し。
広報活動及び定期報告をする事が基本的な業務だが、一番多いのは国防任務の関係でツェンバー達への伝令である。
エファル関係の仕事に就かされる者は大抵大きなミスをしたり上官に気に入られなかったりと左遷された者であり、
同様にテッソも軍部内でのいざこざで飛ばされ、昼の守衛メイリードやグレースルとしょっちゅう愚痴っている。
しかしその中でも就きたくない仕事ワーストワンを獲得し続けているのは、死亡者行方不明者及び精神崩壊者が
兎に角多数排出されている事から。この仕事に就いたら殆ど再起不能、他に行く事さえ経歴から不可能とも言われている。




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