私は競馬に興味をも持つようになってから乗馬も始めました。
動機は、こんなに馬が好きなのに、自分では乗ったことがない
ということが悔しかったからです。
パドックで眺めるだけでは物足りない、と思うようになったからです。
そういうわけで、乗馬もやるようになったのですが、
今回は、私が乗馬をやっていく中で経験したことを
ひとつお話しさせていただきます。
その頃、私は練習しやすいように、一頭馬を指定して
毎回同じ馬で練習していましたが、ある日その馬が機嫌が悪いようで
鞍を乗せようとしても、あまり落ち着きがなく嫌がっているようでした。
今までは特にそんなことがなかったのに、今日はどうしちゃったのでしょう・・・
と困ってしまいました。
これからレッスンがあるのに大丈夫かなぁ、と心配になりました。
乗馬自体にも、まだそんなに慣れていなかった私は
馬がおとなしく言うことを聞いてくれないと、上手く鞍をつけられませんでした。
私はずっと馬の傍にいて、頭を撫でていました。
そうしながら馬の目を見ていると、急に悲しくなりました。
それまで私は、乗馬は競馬と違ってのんびりしているなぁ・・・
乗馬の馬は競馬の馬より幸せなんだろうな、
と思っていましたが、馬にしてみれば乗馬といえども、
乗せたくもないのに重い人間を乗せて、走りたくない時でも馬房から連れ出され
レッスンに出ているかもしれません。
つまり、人間の都合で、彼等の意に反したことを
毎日繰り返しているかもしれない、と思ったのです。
彼等にだってストレスはあるはずなのです。
だから悲しくなって、申し訳なく思い、「ごめんね、ごめんね・・・」
と言いながら、ずっとその馬の目を見て頭を撫で続けていました。
そうしたら徐々に、その馬が落ち着いてきて、
私の言うことを聞いてくれるようになったのです。
ですから、その後は馬装がスムーズにできました。
レッスン中も、いつも以上に私の指示が伝わって
走らせやすかったですし、納得のいく走りができました。
気のせいかもしれませんが、私の気持ちが馬に伝わったのだと思い
とてもうれしくなりました。
こういう瞬間があるから、乗馬は楽しいと思いました。
どんな馬でも人間と同じ生き物で、感情もあり、
ストレスに耐えながら生きているのですね・・・
BACK