今回のお話は、「思い込みや気のせいじゃないのか?」
という突っ込みがあるだろうな、と覚悟して書くことにいたしますが
馬に人間語が通じた経験についてのお話をさせていただきます。

2003年もまた北海道に行き、いくつかの牧場を廻ってきました。
私の目的のひとつに「写真を撮ること」というのがあります。
当然、競馬場などで走っている馬を撮るよりは、
はるかに撮りやすいのですが、馬は生き物、
寝てる時以外は多かれ少なかれ動いています。
放牧地に出されている馬は、常に下を向いて草を食んでいますので
なかなか首を上げてこっちを見てくれませんし、
馬房に入っている馬は、必ず顔を出していてくれるとは限りません。
ですから、自分の納得のいく良い構図の写真を撮るのは
確率的に難しく、かなり運に左右されます。

ある牧場で、馬房に入っている馬の写真を撮ろうとした時に
その馬がすぐに顔を引っ込めてしまいました。
ですから私は馬房を覗き込んで、
「あの…、あなたの顔がとても可愛らしいので、
どうしても写真を撮らせていただきたいのですが…」
と、人間にお願いするように実際に声に出してお願いしてみました。
そしたら、すぐにまた顔を出してくれたのです。
カメラを構えて、良い構図になるように角度やピントを調節してる隙に
また顔を引っ込められてしまいました。
だんだんイライラしてきたのですが、どうしてもその馬の写真を
撮りたかったので、根気強くお願いしました。

今度は、「今のじゃ時間が短すぎて良く撮れなかったんですよ…
度々申し訳ないんですが、今度はもうちょっと長い時間
お顔を出していてくれませんか?」
とお願いしてみました。
そしたら、またすぐに顔を出してくれました。
そして不思議なことに、さっきよりだいぶ長い時間、
馬房から顔を出していてくれましたし、
私のほうをまっすぐに見てくれて、耳もこっちを向けてくれて
それはもう、可愛い顔の写真が撮れたのです。

連れはみんな遠巻きに私を見ていました。
変な人だって思われてるんだろうな、と思いましたが
他人の目なんかどうでもよくて、とにかく写真に集中したかったのです。
馬を驚かせてはいけないし、牧場によっては厳しいところもありますが
馬の写真を撮る時は、馬とのコミュニケーションも大切だなぁ、
と思いました。
そして、お願いするんだから丁寧に、気持ちを込めて
声をかけるのも大切だなぁ、と思いましたが、
やっぱり気のせいでしょうか?




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