第50回九州吹奏楽コンクール予選〜鹿児島県大会〜

2005年7月28〜30日鹿児島市民文化ホール第一

 今年の中学の部は、3日目しか聴けなかったのだが、上位校数校のレベルは拮抗しそれなりに高くなってきた感じはするが、それ以外の学校との差が広がってしまった・・・という感じがしたのも事実。また、いわゆるコンクール的な演奏が蔓延し始めているのも事実で、技術やサウンドの圧倒感だけでなく、音楽的な部分が問われるようになると、更に全体的なレベルが底上げされていくと思う。今年は福岡県がフルメンバーで出てくるので、代表校は更に磨きをかけて、より良い結果をゲットしてもらいたいと思う。

国分市立国分中学校吹奏楽部 (指揮 : 内田 貢) 鹿児島県大会金賞代表・九州大会金賞九州代表
課題曲
2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲:
バレエ音楽「シバの女王ベルキス」より1.2.3.4.(レスピーギ)このバンドは、楽器が古いのだろうか、サウンドに艶が無いのが、いつも気になる。サウンドのバランスや演奏力は非常にレベルが高いので、尚更勿体ない。特に、今年の課題曲はマーチなので、時折ブラス系が棒吹きのように聞こえてしまうのが残念。しかし、スピード感もあり、はつらつとした非常に心地よいマーチだった。自由曲も、場面描写が鮮やかで、後半の演出も素晴らしく、指揮者のパフォーマンスも手伝って、大きな感銘を与えていた。ただ、クラリネットを中心とした木管楽器のバランスが悪く、終始打楽器や金管楽器に細かいフレーズがかき消されてしまっていたのは、非常に残念。九州大会では、この部分をどう再構築して行くかが課題となるだろう。それ次第で、九州代表の座が射程距離に入ってくる事は間違いない。2002年の九州大会でこのバンドが演奏するメリー・ウィドウを聴いたとき、鹿児島県の吹奏楽のレベルがこれから急速に上がって行くだろうという事を直感し、その時は代表団体ではなく、この学校の即売CDを購入したのを覚えている。その後、吉野中、重富中に先を越されはしたものの、今年2005年、ようやく九州代表の座を獲得するにいたったのは感慨深い。今年のこのバンドは、課題曲の安定性も抜群で、特に自由曲において作曲者が配したフレーズの全てを存在感を持って奏で、プレイヤー達は自信を持って、サンパレスに、時間をかけて作り上げた音楽をとどろかせていた。県大会では、ややサウンドの隙間の多さに不満が残ったが、九州大会では見事にその隙間さえ埋めて、レスピーギの華やかなエンディングを心から楽しんでいるようだった。ただ、やや金管に頼りすぎる感じで、木管のサウンドに更に厚みが増せば、鬼に金棒となるだろう。あど、バンダの男の子は、全国のステージでは、堂々と出てきましょう。フィナーレの感動が倍増しますよ。というわけで、ここ数年、鹿児島県から九州代表バンドが入れ換わり立ち代わり出てくるが、これはその層の厚さを物語っていると言えるだろう。
姶良町立重富中学校吹奏楽部 (指揮 : 坂下武巳) 鹿児島県大会金賞代表・九州大会金賞
課題曲
3: ストリート・パフォーマーズ・マーチ(高橋宏樹)
自由曲:
歌劇「トスカ」より、テ・デウム(プッチーニ)この指揮者は、マーチが不得意なのだろうか、冒頭から非常に重いマーチがスタートする。サウンドやの音量や、バランスは非常にいいのだが、終始テンポ設定を含めて、重々しいマーチに終わってしまったのは非常に残念だった。確か、2年前のマーチの課題曲の時も同じ事を感じたような気がする。自由曲は非常にダイナミックレンジの広いサウンドで圧倒するが、時折細かい傷も多々みられ、勢いで押し切った感は否めない。いずれにしても、九州大会で問われるのは課題曲だろう。そして自由曲の精度も更に上げて、2年連続九州代表を目指して欲しい。九州大会での課題曲は、非常に爽快で痛快なマーチに仕上がっていた。ただ、少々バスドラムが終始バランス的に大きすぎた感はあったが。また、非常にダイナミックレンジの広いサウンドは見事だったが、課題曲自由曲を通じてアインザッツが揃わない部分が多々見られ、コンクールという場では、これが最も減点対象になりやすいという部分もあり、金賞を受賞しながら代表にまで手を伸ばす事が出来なかったと思われる。特に自由曲での音楽作りは秀逸だっただけに、基本的な技術面での後ろ盾を完成仕切れなかったのが悔やまれる。とはいえ、サンパレスいっぱいにプッチーニの世界観を轟かせ、割れんばかりの拍手をもらったのは事実だ。
加治木町立加治木中学校吹奏楽部 (指揮 : 菊地洋一) 鹿児島県大会金賞代表・九州大会銀賞
課題曲
2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲:
ミュージカル「チェス」より(アンダーソン)このバンドの演奏は、県大会が聴けなかったので、サンパレスで聴くのを楽しみにしていた。課題曲の冒頭でフライングがあり、結局吹き直す事になったのは残念だったが、そんな状況を挽回しようと、一生懸命に音楽を奏でようとするプレイヤーたちの姿は印象的だった。ただ、午前中の前半という時間帯からか、終始サウンドが乾燥していて、潤いのある音楽を奏でるにいたらなかったのは非常に残念。ところで、このミュージカルは中年世代以上の人々には懐かしい、アバの男性メンバーの作曲によるミュージカルで、イギリスではロングランしたものの、アメリカでは1ケ月ほどでクローズしてしまったというエピソードを持つ。しかし、音楽の方は、アメリカやイギリスでリリースしたシングルがポップチャートのナンバー1になったり、またこのミュージカルの音楽を使用したコンサート形式のショーが世界ツアーを成功させたりと、非常に高いを評価を得ている。
Aの部その他の金賞受賞団体
志布志町立志布志中学校吹奏楽部 (指揮 : 濱ノ園祥子) 鹿児島県大会金賞
課題曲
2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲:
シバの女王ベルキス(レスピーギ)
薩摩川内市立川内中央中学校吹奏楽部 (指揮 : 安 武浩) 鹿児島県大会金賞
課題曲
2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲:
プスタ(ロースト)
鹿児島市立桜丘中学校吹奏楽部 (指揮 : 折田宗仁) 鹿児島県大会金賞
課題曲
2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲:
喩伽行中観〜吾妻鏡異聞〜(天野正道)
鹿児島市立和田中学校吹奏楽部 (指揮 : 末永正恵) 鹿児島県大会金賞
課題曲
2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲:
第三組曲(ジェイガー)
薩摩川内市立川内北中学校吹奏楽部 (指揮 : 西元ひとみ) 鹿児島県大会金賞
課題曲
2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲:
飛行の幻想(シェルドン)
鹿児島市立喜入中学校吹奏楽部 (指揮 : 橋口 通) 鹿児島県大会金賞
課題曲
4: サンライズマーチ(佐藤俊介)
自由曲:
喜歌劇「メリー・ウィドウ」セレクション(レハール)
徳之島町立亀津中学校吹奏楽部 (指揮 : 松田慶次郎) 鹿児島県大会金賞
課題曲
4: サンライズマーチ(佐藤俊介)
自由曲:
ジャランジャラン〜神々の島の幻影(高橋伸哉)課題曲は非常にはつらつとして、中学生らしい元気のあマーチだった。また、クラリネットパートを筆頭に、非常に重厚なサウンドを持つ木管群が見事で、サウンドも音楽も安定感があり、安心して聴けたのがいい。自由曲でも、木管群の細かいパッセージが心地よかった。ただ、全体的に雑然とした感じがしたのは否めず、その辺の整理をして行くことが今後の課題となるだろう。個々のプレイヤーの技量は素晴らしい。
鹿児島市立吉野中学校吹奏楽部 (指揮 : 美座賢治) 鹿児島県大会金賞
課題曲
1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲:
「アメリカの騎士」より、選ばれし者(メリロ)課題曲の冒頭から、バランスのいい安定感のある、ダイナミックレンジの非常に広いファンファーレが会場を包み込んだ。この課題曲は、ほとんど演奏されなかったが、このバンドの演奏は、音楽そのものに高い技術力と音楽性を感じさせるものだった。惜しむらくは、全体的に安全運転気味かなという感じがしたことぐらいで、ほとんど穴の無い演奏であり音楽だったと思う。自由曲は更に素晴らしく、鹿児島でこんなに完成度の高い16ビートが聴ける時代になったのかと、非常に誇らしく思えた。このバンドが素晴らしいのは、他のバンドが、音がひとつの塊になって客席に飛んでくるのに対して、このバンドは、それぞれのパートが立体感を持って縦横無尽に降ってくる・・・・という部分だろう。また、それぞれの音楽の要素が過不足無く奏でられているというのも、音楽をより緻密に再現するのに成功している。このサウンドと演奏が鹿児島県大会で終わってしまうのは勿体ない。
名瀬市立小宿中学校吹奏楽部 (指揮 : 新元佳代) 鹿児島県大会金賞
課題曲
2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲:
バレエ組曲「ガーイーヌ」より(ハチャトリアン)
さつま町立宮之城中学校吹奏楽部 (指揮 : 長浜知子) 鹿児島県大会金賞
課題曲
2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲:
呪文と踊り(チャンス)
鹿児島市立星峯中学校吹奏楽部 (指揮 : 永野俊也) 鹿児島県大会金賞
課題曲
2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲:三つの交響的素描
「海」より、3. 風と海との対話
鹿児島市立谷山中学校吹奏楽部 (指揮 : 長崎治太郎) 鹿児島県大会金賞
課題曲
2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲:
マゼランの未知なる大陸への挑戦(樽屋雅徳)中学校の部の大トリ、若い指揮者(多分)が、情熱的な名演を聴かせてくれた。御辞儀の仕方は少々頼りなかったが、演奏に入ると、非常にきびきびとした、パワフルなマーチがスタートする。サウンドもまろやかで心地よい。国分中の後だと、少々物足りなくも感じたが、演奏に対する情熱はがそれを補っていた。自由曲も、新大陸に向かう気分の高揚が、しっかりと表現されていたが、後半打楽器陣が頑張りすぎてバランスをくずしてしまったのが惜しい。全体としてのパワーは感じられるが、個々のパートの中でのバランスをどう組み立てていくか・・・・が今後の課題ではないかと思われる。

Bの部結果

鹿児島市立南中学校吹奏楽部 (指揮 : 江口博人) 最優秀賞/南九州地区吹奏楽コンテスト最優秀賞
自由曲:
朝鮮民謡の主題による変奏曲(チャンス)

天城町立天城中学校吹奏楽部 (指揮 : 福永義人) 優秀賞/南九州地区吹奏楽コンテスト優良賞
自由曲:
グロリオーソ(ハックビー)
霧島町立霧島中学校吹奏楽部 (指揮 : 池端 恵) 優秀賞/南九州地区吹奏楽コンテスト優秀賞
自由曲:
最後の航海(シェルドン)

2005年8月1〜2日鹿児島市民文化ホール第一

今年の高校の部は、昨年の好調さを背景にどこまで成長してくるのかが楽しみだったが、ふたをあければ、代表御三家がさらに躍進したのに対して、他の高校は足踏み状態か、あるいは後退した感じも否めなかった。もっとも目立ったのは、常にすべての楽器が鳴り続けて音楽的なバランスが全く欠如しているという演奏。そんな中で、しっかりとバランスを取り、音楽的な演出を施した団体が金賞を受賞するという、音楽に重点を置いた審査がなされたのは、非常に評価できることだろう。というかまあ、音楽ができている団体とそうでない団体との差は激しく、そういう意味では審査しやすかったと思う。それにしても、代表3団体の完成度は突出しており、昨年の全国大会金賞の松陽の堂々とし、かつ豪華絢爛な課題曲、はじけんばかりにサウンドが飛び交う神村、そして難曲を高いレベルに仕上げて決して三番手ではないことを証明した鹿屋中央、県大会のレベルからさらにアップが図られれば、福岡の御三家との激突が非常に楽しみになることだろう。ぜひとも新たな歴史の1ページを、代表団体には刻んで来てもらいたいと思う。3団体すべてに、その可能性はある。

鹿児島県立松陽高等学校吹奏楽部 (指揮 : 立石純也) 鹿児島県大会金賞代表・九州大会金賞九州代表
課題曲 1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲:
バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第二組曲より(M. ラヴェル)去年の全国大会金賞での自信からか、冒頭から揺るぎないサウンドがホールいっぱいに広がった。しかし、時折打楽器の破壊音が管楽器のサウンドを潰してしまうのが、非常に惜しい。管楽器だけでも相当な音量があるので、必要以上の強奏は、時として音楽そのものを破壊してしまいかねない。終盤のティンパニーも少々重すぎるのでは・・・・という感じもした。とはいえ、非常に高い技術力に支えられた課題曲だったと言っていいだろう。さて自由曲、「夜明け」の冒頭は、ハープのグリッサンドが時折、フルートやクラの細かいパッセージをかき消してしまう感じで、情緒を欠いていたのが残念。お互いの一体感が演出出来れば、鬼に金棒となるのだろうが。また、同じく「夜明け」のクライマックスでも、ロールシンバルが、耳をつんざくように全てをかき消してしまうのが、音楽への感情移入を遮ってしまっていた。全体的に完成度が高く、申し分のない再現力を誇る演奏の中で、こうしたバランスのわずかな狂いが音楽そのものを台無しにしてしまうのは非常にもったいない。とはいえ、九州代表候補の最右翼にあるのは間違いないので、去年のような揺るぎない音楽性豊かな演奏で、是非とも今年も全国大会金賞を危なげなくゲットして欲しい。余談だが、去年全国大会で同じ「ローマの祭り」を演奏した駒澤高校も、今年は「ダフニスとクロエ」を選曲している。因みに駒澤は、第一組曲の「戦いの踊り」と第二組曲の「夜明け〜全員の踊り」を選択している。さて、九州大会では、課題曲自由曲共に、県大会から数段の進歩を見せた演奏だった。課題曲の冒頭のファンファーレのサウンドとアンサンブルの針の穴を通すような一体感とストレート感は、このバンドならではのものだろう。ローマの平和の時代の華やかな部分や暗黒の部分を、見事に音楽で描き切ったのはお見事。さて、自由曲は、県大会ではいまひとつ個人的に納得出来なかった夜明けの冒頭が、木管とハープの絶妙なアンサンブルで、ドーンパープルに染まりかけたたゆたうようなシーンを、上品に描いていたのが、秀逸だった。夜明けの中盤から全員の踊りにかけては、もう独壇場状態で、終演まで息をもつかせない展開はこのバンドならではのもの。どんな細かいフレーズも存在感を持って全力で再現する奏者たちもお見事。ただ、今日は細かいミスが見かけられたのと、まだまだオーバーフロー気味の部分があったり(特に打楽器)課題曲にテンポ感が少々足りなかったのも事実ではあるが、次のステージでは更に完璧な音楽に練り上げてくる事だろう。演奏前、指揮者の先生は「サンパレスには忘れ物がある・・・・・」と仰っていたが、遺失物置き場にはどうやら、最高の忘れ物が届けられていたようだ。
神村学園高等部吹奏楽部 (指揮 : 久木田恵理子) 鹿児島県大会金賞代表・九州大会銀賞
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲:
ダンスムーブメント(スパーク)ここ数年急成長を見せているのが、神村学園。テクニックというよりは、音楽的な部分での急成長というのが嬉しい。しかし、今日の演奏はやはりというべきか、打楽器群の必要以上の強奏が目立ったのが残念。キメキメの場所で、耳と内蔵を直撃するかのような必要以上の破壊音は、やはり音楽の流れを遮ってしまう。しかし、特に課題曲においては、スネアの刻みの粒立ちぶりが秀逸だった。マーチとしては完璧に近いリズム感で、終始一環したテンポ感とサウンドの心地よさを堪能させてもらった。一方の自由曲は、楽曲そのものが、起伏の激しい鋭角的な作りになっているので、それをどう、より音楽的に料理して聞かせるか・・・・がポイントとなるだろう。こうした楽曲にも、美しい旋律や対旋律が随所に配されているわけで、それをどう潤いを持って聴かせられるか・・・・が、九州大会にむけての課題だろう。このレベルまでその技術力と音楽性を高めてきたこのバンドなら、必ずやそうしたアプローチが出きるはずだ。その上で、このバンドならではの個性を際だたせれば、また新たな輝きを持ったダンス・ムーブメントになるはず。さきほどのスネアは、自由曲でも完璧に近い演奏をしていたが、課題曲のチューニングとは異なるスネアを使ってもいいのでは・・・・という気がしたのも事実。打法とサウンドの変換でニュアンスの違いを出すのもいいだろう。そして2年連続の代表権を手中に収めてもらいたい。
前田学園鹿屋中央高等学校吹奏楽部 (指揮 : 谷口修美) 鹿児島県大会金賞代表・九州大会銀賞
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲:
ハリソンの夢(グラハム)去年の九州大会では、いま一歩、鹿児島の上位2校との間に格差が感じられたこのバンドであるが、この1年で驚くべき急成長を遂げたものだ。課題曲は、バッキングに若干の不安定さは感じられたものの、非常によく整理された仕上がりで、鹿児島県大会全てを通じて、最高の「春風」を聞かせてくれた。続く自由曲は、冒頭の打楽器群が、やや重くスピード感を欠いていたが、管楽器群の技術の高さと過不足なく入れ替わる音色のコントロールで、様々なシーンを演出していた手腕は、これまでに何度も聞いてきたこのバンドとは、全く違うレベルのものだった。瞬間的には、松陽や神村をも上回る出来で、この3校の間の格差がかなり縮まってきたことを証明している。あとは、やはりこのバンドも、時折必要以上の打楽器の強奏が音楽の流れをせき止めていたのと、部分的にややピッチが不安定になってしまう時があるので、九州大会に向けて、細かい神経の行き届いた調整が望まれる。しかし、ここ数年何度となく聴いてきたハリソンの中でも、トップクラスの躍動感を感じさせる演奏だった。
Aの部その他の金賞受賞団体
鹿児島学園加治木女子高等学校吹奏楽部 (指揮 : 福崎秀人) 鹿児島県大会金賞
課題曲 3: ストリート・パフォーマーズ・マーチ(高橋宏樹)
自由曲:
呪文とトッカータ(バーンズ)非常にダイナミックレンジの広い、ゴージャスなサウンドが冒頭から繰り広げられて、ハッと目を覚まされる感じだったが、主旋律は非常に気を使って表現されるものの、バッキングが、いまひとつリズム、音程共に不安定で、マーチとしてのと流れが感じられなかったのが残念だった。自由曲も同じで、登場感や緊迫感は演出されるものの、旋律を支える裏方の部分の細部にまで神経が行き届かず、結果的に説得力を欠いたものになってしまっていた。いいサウンドを持っているだけに、残念。
鹿児島県立加治木高等学校吹奏楽部 (指揮 : 下茂大二郎) 鹿児島県大会金賞
課題曲
2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲:
吹奏楽のための神話〜天の岩屋戸の物語による(大栗 裕)サウンドとしては、全体的におとなしめで、もっとダイナミックレンジをいっぱいに使ってもいいかなとも思わせたが、非常に丁寧な音楽作りで、丹念にそれぞれの養そを組み立て、積み重ねていった努力が手にとるように分かる演奏だった。この日の後半は、すべての楽器の限界まで鳴らしまくる演奏も見られた中、清涼剤のような存在だったと言っていいだろう。若干、アンサンブルの乱れなどが見られたものの、音楽として聴くことの出来た数少ない演奏のひとつだったと思う。更に細かいサウンドのバランス作りを行えば、より完成度の高い音楽に近づくだろう。
鹿児島県立川内高等学校吹奏楽部 (指揮 : 上之原忠幸) 鹿児島県大会金賞
課題曲 3: ストリート・パフォーマーズ・マーチ(高橋宏樹)
自由曲:
喜歌劇「メリー・ウィドウ」セレクション(レハール)このバンドもレンジの広い、安定感のあるサウンド作りに成功していた。しかし、随所にアンサンブルの乱れやザッツの乱れが見受けられてしまったのが残念。自由曲でも、サウンドは安定していたが、「セレクション」とタイトルにもあるように、様々な要素を持った音楽が集合しているわけで、場面場面での音作りの変化を表現するまでにはいたっていなかったのが残念だった。
鹿児島県立川辺高等学校吹奏楽部 (指揮 : 福森利孝) 鹿児島県大会金賞
課題曲
1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲:
マゼランの未知なる大陸への挑戦(樽屋雅徳)ここも、非常にダイナミックレンジをいっぱいに使ったゴージャスなサウンドで、「ローマの平和」というタイトルに相応しい世界を演出するのに成功していた。サウンド、音楽共に安定感はあったが、随所にアンサンブルの乱れや、ピッチの不安定さが垣間見られたのが残念だった。しかし、一日目のトリに相応しい、締まりのいい音楽だった。
出水学園出水中央高等学校吹奏楽部 (指揮 : 福島玲士) 鹿児島県大会金賞
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲:
元禄(櫛田月失之扶)全体的にコンパクトにまとめられたサウンドながら、非常にバランス良く整理された音楽に仕上がっていた。マーチのスピード感や安定度も素晴らしく、音楽をかん辞される演奏だった。自由曲は、ともすれば、打楽器がバランスを崩してしまいがちな曲にあって、旋律や和声をしっかりと聞かせる音楽に仕上げていたのは、指揮者の卓越した感性と、プレイヤー達の努力のたまものに違いない。
鹿児島県立甲南高等学校吹奏楽部 (指揮 : 中尾麻里) 鹿児島県大会金賞
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲:
バレエ音楽「ライモンダ」より(グラズノフ)この日の前半、大編成のバンドが必要以上の強奏で、サウンドのバランスを崩したり、アンサンブルを狂わしたりして行く中で、流麗なサウンドとともに、丁寧な音楽を聞かせていたのが印象的だった。ただ、もうひとつ音楽として主張しようとするものが感じられなかったのが残念。
鹿児島県立国分高等学校吹奏楽部 (指揮 : 木原洋子) 鹿児島県大会金賞
課題曲 1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲:
青い水平線(チェザリーニ)
鹿児島県立伊集院高等学校吹奏楽部 (指揮 : 福田正樹) 鹿児島県大会金賞
課題曲 3: ストリート・パフォーマーズ・マーチ(高橋宏樹)
自由曲:
青銅の騎士(グリエール)
銀賞受賞団体/出水高校/奄美高校/国分中央高校/大口高校/徳之島高校/鹿児島情報高校/鹿児島東高校/樟南第二高校/指宿商業高校/岩川高校/鹿屋高校/玉龍高校/宮之城高校/加世田高校/鶴丸高校/鹿児島南高校/志布志高校/指宿高校/出水商業高校/沖永良部高校/川内商工高校/武岡台高校/大島高校/鹿児島高校/樟南高校/鹿児島中央高校
銅賞受賞団体/屋久島高校/中種子高校/鹿児島工業高校/鹿児島実業高校/錦江湾高校/鹿児島西高校

Bの部結果

鹿児島県立喜界高等学校吹奏楽部 (指揮 : 田畑佳愛) 最優秀賞/南九州地区吹奏楽コンテスト優秀賞
自由曲:
喜びの音楽を奏でて(スウェアリンジェン)

鹿児島県立野田女子高等学校吹奏楽部 (指揮 : 西村礼子) 優秀賞/南九州地区吹奏楽コンテスト優良賞
自由曲:
アイヴァンホー(アッペルモント)
鹿児島県立種子島高等学校吹奏楽部 (指揮 : 永井 哲) 優秀賞/南九州地区吹奏楽コンテスト優良賞
自由曲:
カルミナ・ブラーナ(オルフ)
2005年7月31日鹿児島市民文化ホール第一
鹿児島大学学友会吹奏楽団 (指揮 : 森園慶宏) 鹿児島県大会金賞代表
課題曲
2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲:
ウィズ・ハート・アンド・ヴォイス(ギリングハム)冒頭から、例年になく締まりのいいサウンドに少々驚かされた。特に県大会は、対抗馬がいないので、気分的に高揚感を持っていくのが難しいと思われるが、今年の鹿児島大学は一味違うと感じさせてくれる課題曲だった。ただ、細かいアンサンブルのミスや、サウンドの不安定さがあったのも事実。自由曲は、非常に演奏効果の大きい楽曲で、ここでも、今年特有のはつらつ感がその演奏効果を更に大きくしていた。しかし、自由曲では、更にアンサンブルの乱れが目立つ場面も多く、サウンドも金管を中心に広き気味になってしまう場面もあり、九州大会までにどこまでそうした部分を克服して完成度を高められるかが成否を決めることになるだろう。特に今年は福工大が3出休なので、チャンスも大きい。更なる奮起を楽しみにしていたい。
2005年7月31日鹿児島市民文化ホール第一
J.S.B. 吹奏楽団 (指揮 : 東 久照) 鹿児島県大会金賞代表
課題曲 1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 :
交響曲第10番「BR2」より(天野正道)更に重厚さと安定感を増したサウンドが、課題曲の冒頭から響き渡った。高域よりも、中低域のボリューム感と安定感を増すことで、サウンドにポジティブさをもたらしたのは大成功だと言えるだろう。ともすれば、高音金管の鋭角的なサウンドやパーカッションの破壊音でボリューム感を出そうとするバンドが部門を問わず多い中で、このバンドが行っているアプローチは、多いに参考にすべきだ。特に課題曲は、すべての楽器が過不足無く登場し、多くのオーディエンスが満足したはず。しかし、いまひとつ音楽的なポジティブさに欠けたのも事実で、このバンドならではの主張を是非盛り込んで欲しいものだ。さて、自由曲はこのバンドとのコラボレーションが有名な天野正道氏の楽曲。最近お会いしていないが、元気にしていらっしゃるのだろうか。さて、ここでもサウンドの安定感は秀逸だったが、中盤から終盤にかけて訴えるものを聴かせて欲しかった。特に、この曲のように弱奏で終わる楽曲の場合は、中盤から終盤にかけてどれだけ多くの印象を残すか、そして弱奏の部分で、それまでの印象をオーディエンスに回想させるような演出が必要となるはずだ。宮崎ではそんな演奏に出逢える事を期待したい。
宮之城吹奏楽団 (指揮 : 幸喜 隆) 鹿児島県大会金賞代表
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
プラトンの洞窟からの脱出より(メリロ)課題曲の冒頭からペットを筆頭に、ブラスサウンドが全く前面に聞こえてこず、更にクラのサウンドも例年以上にボリューム感がないからか、スカスカにも聞こえるサウンドに目と耳を疑うばかりだった。しかし、演奏そのものは非常に安定していて、課題曲自由曲共に、技術的な基礎がしっかりでき上がっていることを伺わせる演奏だった。一般の部ではサウンドやアンサンブルが安定しているのは、あたりまえで、更にそこにどういう主張があるか・・・・が問われ、その回答を示したバンドだけが更に上の段階に進める厳しい部門である。かつてのような音楽としての輝きを、このバンドが早く取り戻すことを期待したい。
松陽高校OB吹奏楽団「緑」 (指揮 : 立石純也) 鹿児島県大会金賞代表
課題曲 1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 :
ハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲(コダーイ)木管主体だと思われていたこのバンドがこの課題曲を選んだのに少々びっくりしたが、あの安定感のあるシンフォニックなサウンドは、木管のしなやかさだけでなく、この金管の安定感にもあったのだという事が、この課題曲を聴いてはっきりわかった。ただ、サウンドが重厚な分、少々音楽的に重い課題曲になってしまったのは残念だった。自由曲は、なるほどと、このバンドにしっくり来る選曲の妙を楽しませてもらった。ただ、綺麗にまとまってはいるものの、何かこうスパイスのような物が感じられず、「とにかく間に合わせました」感が漂ってしまっていたのが残念。九州大会までに更に上の段階に仕上げて来るのだろう。
2005年九州大会