社債管理者は、社債権者のために社債に係る債権の弁済を受け、又は社債に係る債権の実現を保全するために必要な一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
社債管理者が前項の弁済を受けた場合には、社債権者は、その社債管理者に対し、社債の償還額及び利息の支払を請求することができる。この場合において、社債券を発行する旨の定めがあるときは、社債権者は、社債券と引換えに当該償還額の支払を、利札と引換えに当該利息の支払を請求しなければならない。
前項前段の規定による請求権は、これを行使することができる時から10年間行使しないときは、時効によって消滅する。
社債管理者は、社債権者集会の決議によらなければ、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第2号に掲げる行為については、第61条第8号に掲げる事項についての定めがあるときは、この限りでない。
当該社債の全部についてするその支払の猶予、その債務若しくはその債務の不履行によって生じた責任の免除又は和解(次号に掲げる行為を除く。)
当該社債の全部についてする訴訟行為又は破産手続、再生手続、更生手続若しくは特別清算に関する手続に属する行為(第1項の行為を除く。)
社債管理者は、前項ただし書の規定により社債権者集会の決議によらずに同項第2号に掲げる行為をしたときは、遅滞なく、その旨を公告し、かつ、知れている社債権者には、各別にこれを通知しなければならない。
前項の規定による公告は、社債を発行した相互会社における公告の方法によりしなければならない。ただし、その方法が電子公告であるときは、その公告は、官報に掲載する方法でしなければならない。
社債管理者は、その管理の委託を受けた社債につき第1項の行為又は第4項各号に掲げる行為をするために必要があるときは、裁判所の許可を得て、社債を発行した相互会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
会社法第703条(社債管理者の資格)、第704条(社債管理者の義務)、第707条から第714条まで(特別代理人の選任、社債管理者等の行為の方式、2以上の社債管理者がある場合の特則、社債管理者の責任、社債管理者の辞任、社債管理者が辞任した場合の責任、社債管理者の解任、社債管理者の事務の承継)、第868条第4項(非訟事件の管轄)、第869条(疎明)、第870条第1項(第2号に係る部分に限る。)(陳述の聴取)、第871条(理由の付記)、第872条(第4号に係る部分に限る。)(即時抗告)、第874条(第1号及び第4号に係る部分に限る。)(不服申立ての制限)、第875条(非訟事件手続法の規定の適用除外)及び第876条(最高裁判所規則)の規定は、社債管理者について準用する。この場合において、これらの規定中「社債発行会社」とあるのは「社債を発行した相互会社」と、同法第709条第2項中「第705条第1項」とあるのは「保険業法第61条の7第1項」と、同法第710条第1項中「この法律」とあるのは「保険業法」と、同法第711条第2項中「第702条」とあるのは「保険業法第61条の6」と、同法第868条第4項中「第705条第4項及び第706条第4項の規定、」とあるのは「保険業法第61条の7第7項の規定並びに」と、「会社」とあるのは「相互会社」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。