番外編 バッテリー充電器自作奮闘記




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古い充電器を調べてみる
2006.6.26
 CL50 のバッテリーですが、中国製のものに交換されていました。今は調子いいんですが、いずれ充電が必要になるかもしれません。いわゆるMFバッテリーなので、それ用の充電器が必要です。今のうちに準備しておきたいですね。

 家にある古い充電器を改造できないかなあ。そうすれば出費をかなり抑えられるし、その分で新しいパーツが買えるってもんです。


家にあった20年前の古い充電器です、いちおうGS製。
クルマのバッテリーを上げてしまったとき何度か使い
ました。

ウラに何かごちょごちょ書いてあります。大事なのは下
のほうに書いてある出力。2.2A 取り出せる、と。小型車
用ってとこですかね。

フタを取って内部を覗いてみます。左下の茶色いのが
12V/6V の切り換えスイッチ、そのすぐ右側にコの字型
の板(放熱板)で囲まれた2個のダイオードがあります。

配線を追ってみると、いわゆるセンタータップ両波整流
回路です。 →回路図はこちらの上半分参照

トランスのAC出力電圧が知りたい。テスターで当たって
みるとちょうど25V でした。ただし、これは無負荷状態で
の数字です。


 秋月電子にちょうど良さそうな1,000 円のキットがありますが、トランスとケースは付いていません。この古い充電器に組み込めればいいんですが・・・問題はトランスのAC電圧です。AC20Vくらいがいいらしいんだが、この充電器のトランスのAC電圧は無負荷で25V なので負荷時にはだいたい20V 程度でしょう。よし、何とかイケそうだ(^o^)

参考までに   12V用バッテリー充電器のDC出力電圧は一般に14V弱なので、回路がセンタータップ両波整流の場合、トランスのAC電圧はダイオードの損失を無視すれば、14V×√2 と考えられるので、およそ20V のはずなんであーる。


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秋月電子の鉛蓄電池充電器パーツキットを購入
2006.7. 8
 秋月のパーツキット、その他を購入してみました。

これがキットの全パーツです。
後列 左から パワー・トランジスタ用ヒートシンク ブリッジ・ダイオード プリント基板
中列 左から IC(723)とICソケット アルミ電解コンデンサ1000μF セメント抵抗5W5Ωと5W1Ω
前列 左から 可変抵抗500Ωと5KΩ セラミック・コンデンサ カーボン抵抗7.5KΩが2本 パワー・トランジスタ2SD2162
以上のセットでお値段1000円です。
他にこんなものも購入しました。
20VDCアナログ電圧計 1000円
2回路2接点トグル・スイッチ 100円
ブラケット入LED(緑 12〜24V) 100円


 問題は基板の大きさでした。立ててケース内に取り付けるとすると、ケースの内寸ぎりぎりで接触の恐れあり。少しカットする予定ですが、そうするとアースのパターンが細くなってしまうので、何らかの対策が必要かも。

 あと電圧計をパネルに取り付けたいのですが、そのためには直径45ミリの穴を開ける必要があります。大穴を開けるにはシャーシ・パンチが便利ですが、手持ちのパンチは最大で30ミリのものしかありません。さて、どうするか。
 今回のキットは定電圧チャージャーなので電圧を監視する必要性はあまりない。省略しちゃおうかなあ → 弱気の虫


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プリント基板を完成させる
2006.7. 9
 今日はプリント基板のハンダ付けをやりました。


まずカッターで基板の上部を7ミリほど切断します。ガラエ
ポ基板は硬いので苦労しました。
もちろんケースの高さに余裕があれば、切断する必要はあ
りません。

切断面はていねいにヤスリがけをしておきます。

次にジャンパー線を8カ所ハンダ付けします。
これに使うスズメッキ線はキットには含まれていません。
なお、ハンダごては20Wくらいのものが良いようです。

こんなにジャンパー線が多いということは、基本設計のと
きよりも色々と変更されているということなんですね。

C2個、R3本、VR2個、ICソケット1個をハンダ付け。
これで、あと上にある IC を載せれば基板は完成です。
ずいぶん余っている穴がありますが、本当にこれで全部な
んです(^^;

トランジスタとダイオードは発熱するので基板外に取り付け
ます。

これが基板の裏面です。ワタシは全部18Wのハンダごて
でやりましたが、パターンの広いところ(左のほうと下のほ
う、それに右上ですね)は25〜30Wくらいのほうがやりや
すいと思います。

言うまでもないでしょうが、パーツの足は3〜4ミリほど残し
てニッパーで切り落とします。


 ここまでで使った工具はハンダごて18W、ニッパー、カッター、ヤスリ、ラジペンのみです。ラジペンはスズメッキ線を折り曲げるのに使いました。なおスズメッキ線がない場合、手持ちの余分な抵抗とかコンデンサの足を切って使ってもOKです。


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ケース内の配置および配線
2006.7.14
 基板とブリッジ・ダイオードはL型金具で立てて取り付けます。できるだけ配線が短くなるような配置にします。特にパワー・トランジスタのコレクタとエミッタには大きい電流が流れるので最短距離で配線したい、しかしその反面けっこう熱が出ることを考えると基板とパワー・トランジスタはある程度離したいという矛盾した欲求をいかに両立させるか、今まさにその手腕が問われているのだ…なーんちゃって。


仮に配置してみたところです。
トランスを斜めに移動させて空きスペースを作って
基板を置き、その右側にトランジスタのヒートシンク
左側にブリッジ・ダイオード(小さいヒートシンクを付
けてみた)を配置。
お互いに接触しないギリギリの位置関係です。

上から見たところ。アルミ電解コンデンサは飛び出
しているように見えますが、実際はちゃんとケース
内に収まっています。


 さて、それでは配線していきます。−−−途中略−−−はい、できました(^^;


既存のスイッチ(茶色)に並べてもうひとつスイッチを
増設。こちらでMFバッテリー用のON・OFFを行う。(
左下の赤丸)

右上の赤丸はブラケット入LED MFバッテリー用の
パイロット・ランプです。なお電圧計の内蔵は断念し
ました。

基板の側から見たところ。左のパネルから黄色と黒
のケーブルを外に出す。これがMFバッテリー用の1
2Vケーブルです。既存の赤・黒ケーブルと区別する
ため黄色にしました。

少し上のほうから見たところ。基板とダイオードはL型
金具で取り付けました。

また、パワートランジスタはただ置いただけですが、動
かないようL型金具で脇から押し付けています。
もう取り外すことがないのならエポキシ系接着剤で固め
てしまっても良いでしょう。

MFバッテリー用12Vケーブルの先端にはみの虫クリッ
プを付けてみました。


 ここまでに使ったパーツ・材料はトグル・スイッチ、ブラケット入LED(緑 12〜24V)、ケーブル類、L型金具4個、3ミリビス・ナット・ワッシャー類、ダイオードに付けた小型ヒートシンク、みの虫クリップ(黄色・黒)、あとトランジスタおよびダイオードとヒートシンクの接合面にシリコン・グリス塗布。 追加です 12Vケーブルをパネルに通すところにACコード用サポート1個

 使った工具はハンダごて30W、プラス・ドライバーとBOXドライバー5.5ミリ(3ミリナット用に)、あと穴開けに電動ドリル、リーマ、半丸ヤスリなど。

 最後にICをソケットに差し込んで完成です。次回は半固定VRを調整する予定なのダ!


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半固定VRの調整
2006.7.15
 まずはバッテリーをつながずに電源ON して出力電圧を調整します。

電源投入前の状態 VR1は左に回し切っておき
VR2はほぼ中央にしておく。そして電源ON
そのとき出力電圧はおよそ6.8Vでした。
10Vレンジの値に2を掛けて読む(DC20Vレンジのため)
テスター(または電圧計)の指示を見ながらVR2
を右に回していく…
13.68Vになったらストップ。これで電圧調整はOK


 次にバッテリーを接続し、セメント抵抗5Ωの両端の電圧を測って電流値を調整します。CL50のバッテリーは2.3Ah なので、その10分の1の230mA(=0.23A)が流れればOK。したがってセメントの両端電圧が1.15V になるようVR1 を回します(写真は省略 その理由は後述)。これで終了です。

 なお、他のバッテリーの場合、電圧は次の式で計算します。
セメントの両端電圧=電流値×セメント抵抗のΩ数
ただし電流値はバッテリーの容量(単位Ah)の10分の1とする

 ちなみに現在CL50 に使っているバッテリーを接続して230mA に調整しましたが、バッテリー自体が元気なためか、みるみるうちに電流が減っていきました。ある程度電圧が下がっているバッテリーじゃないと正確には調整できません。したがって写真はなしです(^^;

 なお、秋月キットの部品のままでも最大で5〜7Ah くらいのバッテリーまで充電できるようです。詳しくは付属の説明書を見てください。


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回路図(概略)
2006.7.16




余った電圧計をどうしよう → そうだ改造しよう
2006.7.18
 充電器は完成しましたが、20Vの電圧計が余ってしまいました。今更パネルに大きな穴を開けて取り付ける気もしないので、外付けの電圧計として使うかどうかなんですが、どちらかというと充電電圧よりも充電電流をモニターする方が、充電時の状況をつかみやすいですね。

 そうするとセメント抵抗の両端からケーブルを引っ張り出して、その電圧を測ればいいわけです。しかしです、セメントの両端電圧はせいぜい1〜3V程度なので、20Vフルスケールでは針はあまり振れません。もし、これが4Vフルスケール程度ならば、ちょうど具合が良さそうです。

 ということで、4Vフルスケールになるよう改造しちゃいます。この場合、厳密な電流値は必要なくて、だいたいどれくらい流れているかわかれば十分です。したがって数値計算は割とアバウトでかまわない。具体的にはメーター本体(実はそれ自体は電流計でして、それに直列に抵抗がつながって結果として電圧計になっている)の内部抵抗は無視するということです。それなら計算は実にラクになります。


電圧計をバラしてみました。直列につながっている抵抗
は20KΩのものでした。

問題はメーター本体(右のほうにある白いヤツ)は何アン
ペア流れたときフルに振れるのかということですね。

左図で上の抵抗に20Vかかっているときメーターがフル
に振れるので、そのときの電流は I=V/R から1mAで
あることがわかります。

ということは20KΩの抵抗に代えて4KΩにすれば、
V=IR から、4Vでフルに振れるようになるはずです。

とはいっても4KΩの抵抗なんてカンタンには入手できま
せん。そこで入手しやすい10KΩと6.8KΩを並列に接
続します。

並列抵抗の合成値は 「和」分の「積」 なので
10K×6.8K / (10K+6.8K)=4.048KΩ
となって誤差1.2% Oh!素晴らしい。

2本の抵抗を取り付けたところ。ピントが手前の文字盤に
合ってしまってちょっと見にくいかな。

文字盤の「5 10 15 20」は「1 2 3 4」と読みかえ
る。
あるいは5Ωのセメント抵抗に接続することを前提にすれ
ば「200 400 600 800」単位mA と読みかえてもO
K。


 ちなみに精度ですが、DMMで測って1.53Vだった乾電池がこの「4V電圧計」だと1.5Vを指しました。仮にDMMが正確だったとすると誤差はおよそマイナス2%ですが、メーターの内部抵抗を無視したのでこんなものかな。充電電流の目安にするだけならこれで十分でしょう。(実はセメント抵抗自体の誤差が±5%あるので、あまり正確な電圧計を使っても意味がなかったりする)

 本来このHPはバイクのHPのはずなのに、ほとんど電子工作のページになってしまいました。しかし反省はしてません。次は何とタコメーターの自作を画策しております。ヒュン、ヒュン、ヒュヒュヒューン(タコメーターの針のつもり)


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