グローバルな金融メルトダウン

      by Michel Chossudovsky (2008年9月18日) 
 



2008年9月15日、血の月曜日(Bloody Monday September 15, 2008) 

2008年9月15日、血の日曜日。ダウ平均株価(DJIA)は、9/11アタックのあと取引が再開されたときの2001年9月17日以降の最大の下落である504ポイント低下した。 

金融の下落は留まらず、1週間以内にダウ平均は800ポイント低下した。世界の株式市場は瞬間的なコンピューター接続を介して"24時間中"相互接続されている。不安定なウォール街の取引は即座に欧州とアジアの株式市場に飛び火して、全体の金融システムに急速に浸透する。





1929年のウォール街クラッシュ以降、最も深刻な金融危機(The Most Serious Financial Crisis since the 1929 Wall Street Crash) 

投機的取引によって生み出された不安定性を考慮して、グローバルな情景を眺めたとき、この危機の巻き添えは遠くまで及んでいる。 

しかし、危機はそのクライマックスに決して達していない。それは国際的な貨幣制度のまさにその基礎を混乱させる可能性があるかも知れない。アメリカおよび世界中の人々の生活へのはね返りは劇的である。 

危機は金融市場のメルトダウンに制限されず、国および国際的なレベルでの実体経済、その機関、および生産組織も危機の中に置かれている。  

株価が崩壊すると、年金基金は云うに及ばず、終生の家計の蓄財も浸食される。  

金融のメルトダウンが消費者市場および住宅市場に跳ね返ることは不可避で、更に広くは商品やサービスの生産への投資プロセスにも悪影響を与える。
   

戦争および経済危機(War and the Economic Crisis)

極めて重大なことは、この株式市場価値の急落が主要な軍事冒険(military adventure)の交差点で生じているということである。グローバルな金融危機は戦争と緊密に関係している。

らせん状に上昇する防衛費は、経済活動の市民部門に激しく反発する。戦争経済は財政および金融政策と直接の関係を持っている。 防衛支出は5000億ドルを超えている。それとは別に700億ドルが新政府の最初の数ヶ月における戦費をカバーするために取っておかれている。これらの合計額は、第二次世界大戦終結以降における軍事支出の最高レベルを表している(インフレ調整済)。(Csmonitor.com  February 06, 2008)

“戦争はビジネスのために良い”:株式市場、通貨および商品市場を日常的に操作している有力な金融グループは、中東戦争の継続と激化も促進している。金融危機は、“戦争経済における合衆国の公的投資” virsus “民間の社会プログラムの(税金を通しての)資金調達”という構造に関係している。「より広くには、それは、民間経済活動のほとんどの部門を犠牲にして、軍産複合体と中東戦争に執拗に融資することにおいて、合衆国財務省と合衆国貨幣制度の役割についての問題も引き起こす.」(See Michel Chossudovsky, The Democrats endorse the "Global War on Terrorism": Obama "goes after" Osama, Global Research, August 29, 2008)

戦争は利益を求めて引き起こされ、大規模に世界中に拡大するドル建ての負債を通して融資される。戦争とグローバリゼーションは関連して起こる。ウォール街の金融市場、石油会社、および防衛請負人は一緒であり、利害関係が重なっている。石油会社は、ロンドンのエネルギー市場の原油価格の投機的急騰の背後にいる。 

更に、軍事アジェンダの結果として、税金を含む国の資源が何十億もの中東戦争への資金調達で散逸しているので、合衆国の民間経済は危機にある。


投機的猛攻撃(The Speculative Onslaught)

“金融上の操作”を通して富を独占しようという世界規模の奪い合いが、この危機の背後にある推進力である。 それは経済的混乱と社会的荒廃の源である。 

根底にある動機は何なのだろうか? はびこっているものは、膨大な投機的取引によって特徴付けられる全面的に規制緩和された金融環境である。 

規制緩和の歴史は、レーガン政権の初めに遡る。 

1987年の株式市場のメルトダウンの通夜の集まりにおいて、米国財務省は金融市場に干渉しないようにウォール街から助言された。政府の干渉から解き放たれて、ニューヨークとシカゴの取引所は彼ら固有の規制方法を制定するよう求められた。 

市場を規制する権威は、もはや国務省ではなく、機関投機家の利益に直接奉仕する株式市場の職員に委ねられている。 

ウォール街の危機は、金融戦争の過程の一部である。 

1987年の危機以降、激しい金融競争の新しい時代が展開されてきた。

合衆国における金融規制緩和は、グローバルな金融権力の空前の集中に好都合な環境を作り出してきた。

我々が論じているものは、競合する金融複合企業間の大きなクラッシュである。 

金融メルトダウンは過大な借入金をかかえた投機的操作の野放図な増大と緊密に関係している。 


ヘッジファンド(The Hedge Funds)

ヘッジファンドはこの構造改革過程において重要な役割を演じている。しばしばヘッジファンドを介して為されるこれらの投機的取引(デリバティブ、オプション、先物、インデックスファンドなどの一そろい)は、株式市場取引の仕組みおよび実体経済活動とのそれらの関係の影を薄くする。  

ヘッジファンドは民間の投資ファンドであり、富裕な投資家の共同出資資金を取り扱うものである。それらはしばしば大きな金融機関にリンクされていて、全面的に野放しである。それらは、他人資本をてこにした投機的取引のために使われる莫大なマネー資産を運用する。その投機的取引は、市場が上がったときだけではなく下がったときにも利益を刈り上げるという特徴を持っている。
 

短期の売り(Short Selling)

株式市場のメルトダウンは大きな利益を生み出す操作で有り得る。
先見の明と内部情報により、市場価値の崩壊は、適切な時期に適切な方向へ市場を操作できる能力を持ったえり抜きの範疇の有力な投機家のために、(短期の売りを通して)儲かり、お金を回転させる機会を作る。 

あからさまな操作を通して、幾社かの大きな金融機関の崩壊を誘発した、用心深く企まれた陰謀があったという兆候がある。

嘘の噂の拡散と同様に“短期の売り”がリーマン、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスを含むウォール街の選択された株式の崩壊を誘発するための戦略として使われた。

短期の売り手は株の下落で利益を得ることを目論むが、通常株を借り、それを売って、その価格が下がってから買い戻す。暴力的な“あからさまな”空売りは株を借りず、買い手に株を引き渡し損ねる。

暴力的な短期の売り手が株価を強引に下げることによってリーマン・ブラザーズのような会社の破綻に寄与したと、数人の市場参加者は言っている。

モルガン・スタンレーのCEOであるJohn Mackは、水曜日[9月17日]の内部メモにおいて、従業員に、「何が起こっているのか? それは私には良く分かる。 我々は恐怖と噂によって支配されている市場の真ん中にいて、短期の売り手が我々の株を下落させている。」と伝えた。 (
Financial Times, September 17, 2008)

規制者達は、今年3月に起きたベア・スターンズの崩壊は短期の売りに起因することを認めている。“規制者達は空売りと嘘の噂の組み合わせがその問題の一因であることを調査してきている”。(Wall Street Journal, September 18, 2008)

メリル・リンチは買収され、リーマン・ブラザーズは倒産した。これらは偶然の出来事ではない。それらは、有力なライバルの金融機関による操作の結果であり、彼らの目的を達成するために、激しくてこを働かせた投機的操作が利用され、攻撃を受けたライバル金融機関は放逐されるか、支配権を奪われた。
.
今の金融メルトダウンは市場の体力と全く関係ない。:それは、競合する機関投資家間の金融戦争で特徴付けられている。
  

原油市場(The Market for Crude Oil)

てこの原理による投機的取引は、原油価格を最高レベルを超えて押し上げ、2008年7月にピークに達した。転換点に到達し、投機的取引は急速に逆回転し、原油価格の劇的な急落を導いた。(下のチャートを参照のこと)

原油価格の変動を操作できる能力があり、先に情報を得られることで投機的急騰とそれに続く急落の時刻表を決定できる能力のある、それらの金融機関と(または)投資家達は、原油価格の上昇と下降の両局面でたっぷりと稼ぐことができる。

“ニューヨークとシカゴの商品取引所でのグローバルな価格の変動は、原油の生産コストと関係がない。原油の螺旋的に上昇する価格は原油の不足の結果ではない。中東における原油1バレル当りのコストは15ドルを超えていないと推定される。カナダ、アルバータのタール砂から抽出される原油のコストは、バレル当り30ドルのオーダである。” (更に詳しいことは次のサイトを参照のこと,
Michel Chossudovsky, The Global Crisis: Food, Water and Fuel. Three Fundamental Necessities of Life in Jeopardy, Global Research, July 2008)





グローバルな経済構造改革(Global Economic Restructuring)

この経済危機は、1980年代初めに始められたマクロ経済学的金融構造改革の過程の結果である。それは政策の枠組み−一般に構造調整プログラムと称される、IMFの迷惑な要求であることは云うまでもなく、WTOの援助の下での貿易および金融改革、致命的なマクロ経済的改革−の結果である。その結果とともに、世界の多くの地域での住民は、同時に起こる貧困化に見舞われた。 

1980年初めの負債危機は、企業合併、買収、および倒産の波を解き放った。これらの変化は、大きな商業銀行、機関投資家、株式売買仲介会社、大きな保険会社などの周りに群がった新世代の金融業者の強化のための道を順次舗装した。この過程で、商業銀行の機能は投資銀行や株式仲介業者の機能と合体し、一握りのグローバルな金融複合企業の強化に導いた。  

複雑な投機的手段の野放しの利用は、ウォール街にそのグローバルな金融帝国拡大のための方法を与えてきた。この過程の主要な狙いは、それ自体で株式市場を監督することではない。それどころか、それは投機的な手段−デリバティブ、オプション、先物、ヘッジなど−のために利益が上がる市場を支配することにあり、そこでの操作とインサイダー取引の余地はは遥かにより大きい。 

ウォール街の金融優位性は、投機的取引のチャンネルに亘っての制度的支配を通して達成されるべきであった。この支配は、アジア危機の事例におけるように、中央銀行が金融政策、株式市場、および通貨市場を支配する役割を弱めるための基盤も提供した。1997年のアジア危機単独で、1,000億ドル以上が数ヶ月の間にアジアの中央銀行の金庫室から没収された。同じような投機的な襲撃が、1998年にロシア、1999年にブラジルで引き起こされた。  

それらの事件のあと、ドット・コム株式の劇的なバブル形成と破裂が生じた。そのとき、NASDAQ総合指数は、2000年3月に5,000を超えるピークに達したあと、急落し、パニック的な売りの連鎖の引き金となった。(下を参照)

 

NASDAQ (1994-2008). Dot.com peak in March 2000


1999年の金融サービス現代化法令(The 1999 Financial Services Modernization Act.)
[1]

1999年に、 The Financial Services Modernization Act (Gramm-Leach Bliley Act) が合衆国下院で可決された。非常に長い話し合いの通夜の集まりで、ウォール街の強大な銀行複合企業への全ての規制束縛が、“ペンの一打ち”で破棄された。  

合衆国上院で可決され、クリントン大統領によって承認された新しい規則の下、商業銀行、委託売買業務企業、機関投資家、および保険会社は、彼らの金融操作を完全に統合するとともに、お互いのビジネスにおいて自由に投資できるようになった。 立法は、ルーズベルト大統領の“ニューディール”の柱であった1933年のGlass-Steagall法令を破棄した。その法令は、汚職の風潮、金融操作、および1929年のウォール街の大暴落のあとの数年の間における5,000以上の銀行の倒産をもたらした“インサイダー取引”への反省として制定されたものであった。(Martin McLaughlin,「クリントン共和党政権は合衆国銀行システムの規制緩和に同意する(World Socialist Website、1999年11月1日)」を参照のこと)


合併の狂乱(The Merger Frenzy)

数件の巨大な銀行合併(NationalBank CorpのBank Americaとの合併、CitibankのTravelers Groupとの合併を含む)が、1999年の金融現代化法令の可決に先立って実行され、連邦準備制度理事会(FRB)によって(現存する法令に対するあからさまな違反であるが)承認された。

ブッシュ政権のスタートに先立つ数年の間において、激しい金融競争の過程が進展されていた。アメリカ金融資本の大いなる支配の下での新世界秩序は、ドイツおよび英国の銀行業巨人との“秘密クラブ”との戦略的同盟を封印することと同様に、欧州と日本におけるライバルの銀行複合企業を弱体化することに熱心であった。
 

来るべき事態の輪郭(The Shape of Things to Come)

(Glass Steagall法令を破って、1999年以前に実行された)銀行合併は、ほんの“氷山の一角”、来るべき事態の輪郭であった。Glass Steagall法令の破棄は、グローバルな金融権力の空前の集中に好都合な環境を創造した。 

合衆国の金融サービス産業全体に亘っての影響力は、一握りの金融複合企業に譲渡されてきた。 

今日横行しているものは、事実上、私的な規制システムである。徐々に発展している“グローバルな金融スーパーマーケット”は、ウォール街の巨人によって監督されようとしている。アメリカ全土にあった州レベルの銀行は、致命的な一連の銀行破産に追い込まれたあげく、金融巨人によって取って代わられ、あるいは飲み込まれた。 

更に、ウォール街による直接的な支配が強化されつつある連邦準備制度理事会の監督力は、大いに弱体化された。金融巨人は、地方レベルのビジネスを抑圧し、実体経済に影を投げかける能力を持っている。事実、競争の欠如のため、Phil Gramm上院議員が発議した1999年の法令は、金融サービス巨人に、(連邦準備制度理事会を迂回し、お互いに暗黙の共謀の下で)彼らが好む利率の体系を定める権利も与えた。:

差し迫った危険を示す信号にもかかわらず、1999年の立法は、1997年中期の“アジア危機”の開始以降の株式市場における失敗の歴史を全面的に無視しているように思われる。統合された世界規模の金融システムにおける経済的および社会的影響は、−金融規制の不在から生じるグローバルな金融メルトダウンの危険は言うに及ばず−1929年のウォール街における大暴落のあとの数年の間よりも、今日(1999年)遥かに深刻である。(Michel Chossudovsky, unpublished notes on the 1999 Financial Services Modernization Act, Legislation, November 1999). 


グローバルな金融構造(Global Financial Architecture)

金融サービス現代化法令は、合衆国の金融状況に制限された国内的な処置として、単独で眺められるべきではない。 

その法律制定の衝撃は、合衆国の金融システムの境界線を遥かに越えて拡がった。少数の金融巨人の手の中にある権力の集中集結を含めて、それがもたらした制度上の変化は、グローバルな金融支配のためのウォール街の揺るぎない探求に大いに寄与した。  

“金融操作”を通して富を独占しようとする世界規模の争奪戦が、このグローバルな金融構造改革の背後の推進力であり、1999年の合衆国の法律制定はその全体の一部であり、世界の異なる地域における金融制度改革の手本を示したものであった。

1999年の法律制定それ自体は資本移動に対する障壁を破壊しなかった。実際には、それはウォール街のキーとなるプレーヤーに発展途上国の金融サービス市場に参加し、グローバルな銀行経営における支配的立場を強固にする権限を与えた。その結果、アジア、中南米、東欧における金融システムは、影を投げかけられ、不安定化した。


国際通貨基金と世界貿易機構(The International Monetary Fund (IMF) and The World Trade Organization (WTO))

合衆国における金融規制緩和は、IMFと世界貿易機構(WTO)の支援の下でのグローバルな金融改革の“ペースを設定する”ことにおいて、決定的な影響を及ぼした。1999年の法律制定は、資本移動の規制緩和、国内の銀行経営と資本市場のWTO支援の下での世界的規模での自由化、国内の金融サービス市場のグローバルな金融複合企業への門戸開放からなるグローバルな金融上のアジェンダの一部であった。 

その法律制定は、同時に行われたWTOアジェンダの下でのグローバルな貿易および金融構造の作り直しと並行して行われた。GATSの下で、発展途上国は金融サービスの完全な自由化に向けて自ら献身してきている。言い換えれば、既に外部の債権者によって支配されていた国家政府は、ウォール街の巨人が国の銀行や金融機関に参入し飲み込むのを避けることができないのであろう。 

金融サービス協定およびGATSの規定と一緒に、合衆国で採用された1999年の銀行業法律は、一握りの銀行複合企業に発展途上国の国内的な金融状況を不安定化させる能力を付与した。 

合衆国銀行業の全面的な規制緩和は、ウォール街の金融複合企業に世界中の金融機関を買収征服するための空前の力を与えた。 

国の経済の骨組みに貫通し、浸透している一握りのグローバルな金融機関によって支配される世界規模の金融スーパーマーケットの方向に向かっている傾向があった。 

(WTOの下での交渉で決まった)2つの主要な協定が、(評論家によれば)銀行の基本的権利を授けることと同等の、国際法における“グローバル銀行の”権利の安泰化に寄与したが、その権利は国の憲法で抑制されたものを無視するものであった。サービスの貿易に関する一般協定(GATS)と金融サービス協定(FTA)の条項は、資本移動に対する残存する障害を正式に壊すものである。それは、バンク・オブ・アメリカまたはシティグループが彼らの望む何処へでも行くことができ、国の銀行および金融機関の破産を誘起できることを意味する。 

更に云うならば、IMFの支援の下、ウォール街の複合企業、彼らの欧州と日本のパートナは、世界の主要債権者機関としての彼らの役割を増強、強化したのである。その役割は、日常的に、公債を引き受けること、政府予算政策に関わる行為を監督すること、シンジケートローンを窮地に立つ産業法人に発行すること、および国有法人の民営化を監督することであり、その国有法人はIMFの金融援助協定などの状況で競売に出されてきている。

金融戦争:だましの力(Financial Warfare: The Powers of Deception)

ウォール街が利用する武器は、「先立っての知識」、「内部情報」、「結果を予測する能力を持っての操作力」、「経済的事件および市場傾向についての紛らわしいか、あるいは偽の情報の拡散」である。これらの方法は、「だましの力」というのが一番相応しく、それを金融機関は日常的に利用し、投資家を誤った方向に導いている。 

だまし術は、デリバティブや、株式、通貨、商品の先物市場で賭けている、彼らが競合する銀行に対しても向けられる。  

特権のある(政治、諜報、軍事、科学などの)情報に近付く手段を持つ者達は、これらの激しくレバレッジされた投機的取引の遂行において常に優位性を持ち、その取引は途方も無い金融利益の源泉となる。CIAはウォール街にそれ自身の金融機関を持っている。 

更に云えば、民間銀行業およびオフショア銀行業の廊下は、金融機関がある所から別の所へ容易に彼らの利益を移すことを可能にするのである。この方法は、問題を抱えた金融機関のCEOや大株主などを含む主要な金融関係者の利益を保護するためのセフティネットとしても利用される。多額のマネーが、株式市場における会社の終焉(たとえば、リーマン、メリル・リンチ、およびAIG)に先立って、適切な時期に動かされ得る。

ニューヨーク連邦準備銀行およびその有力な株主は、合衆国金融政策の施行についての“内部情報”を持っている。それ故、彼らは成り行きを予測し、先物やデリバティブ市場での激しくレバッリジした操作における彼らの賭けをヘッジできるポジションにある。彼らは明らかな利害衝突の中にある。なぜならば、連邦準備制度理事会の特別な決定についての先立っての知識は、民間銀行機関と同様に彼らも、数十億ドルの利益を得ることを可能にする。 

合衆国諜報部、CIA、国家安全保障局、ペンタゴンへの繋がりは、投機的取引の遂行において決定的である。というのは、それは投機家に、直接的に金融市場に影響する外国政策およびまたは国内安全保障の決定についての先立っての知識を通して、出来事を予測することを許すからである。
例:
9/11攻撃の前の数日における航空株のプット・オプション

金融システム内での国内戦争は進展している。 

リーマン・ブラザースは倒産し、メリル・リンチは買収される・・・  

抵当の巨人、ファニー・メイとフレディ・マックは国有化される。 

ベア・スターンズは破綻する。アメリカ最大の保険会社AIGの株は、9月9日の22.19ドルから9月16日の終値で4.00ドル以下まで暴落し、それは80%以上の下落に相当する。 

ゴールドマン・サックスはJPモルガン・チェイスと一緒に財務省と交渉し、AIGに850億ドルの緊急融資を求めているが、ニューヨーク連邦準備銀行によって融資されるであろう。 

誰がコマを拾うのか? 前方に何があるのか?

合併と買収の過程は、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェイス、およびニューヨーク連邦準備銀行が重要な役割を演じているが、金融権力の空前の集中に導く新しい高さまで進行しそうである。 

メルトダウンは無数の銀行および金融機関の終焉に導くであろう。それらは、金融業界から追放されるか、あるいは金融巨人に買収されるであろう。 

バンク・オブ・アメリカはメリル・リンチを買収することになっていて、世界最大の金融機関となり、シティグループおよびJPモルガン・チェイスと衝突するであろう。シティグループおよびJPモルガン・チェイスは競合機関であるが、それでもロックフェラー家とスチルマン家の間の結婚を通して深く関係していることに留意すべきである。  

バンク・オブ・アメリカは、この20年間で合併と買収を繰り返し、金融巨人に成長している。2004年にバンク・オブ・アメリカはFleetBoston Financialを買収し、2005年にクレジットカードの巨人であるMBNAを買い、2007年にオランダの銀行ABN AMROからLaSalle Bank CorporationとCorporate Financeを買収する。そして、2008年9月14日に、バンク・オブ・アメリカは、500億ドルでメリル・リンチを買収する意志を公表した。

我々が論じているのは、合併と買収を通して世界的規模の金融巨人に成長している一握りの主要な金融機関の間での衝突である。 

ウォール街における金融メルトダウンは、リーマン・ブラザーズ、メリル・リンチ、ゴールドマン・サックス、およびモルガン・スタンレーを犠牲にして、ロックフェラー帝国の一部であるバンク・オブ・アメリカJPモルガン・チェイス に大きな利益をもたらした。リーマン・ブラザーズは、9月15日の血の月曜日に破産リストの11章にファイルされた。リーマンの資産は6,390億ドルのオーダーである。    

敗者である可能性のある機関(Potential Losers)

Citigroup Inc ., 2002年7月以降の急落のため15%下落して15.24ドルに[9月15日] 

American Express Co ., 最大の合衆国クレジット会社、8.9%下落して35.48ドルに[9月15日]

Goldman Sachs  200年4月以降最大の下げ幅である12%下落して、135.50ドルに。その下落は、空売りの結果であった[9月15日]

Morgan Stanley, ゴールドマン・サックス以外では最大の合衆国証券会社。14%下落して、32.19ドルに。その下落は、空売りの結果であった[9月15日]

(See Bloomberg, Sept 16, 2008)

2000年に、JPモルガンはチェイス・マンハッタンと合併し、JPモルガン、チェイス、化学薬品業と製造業のハノバー(Hanover)を単一の財務上の存在への統合に導いた。ベア・スターンズは破綻後に2008年、JPモルガン・チェイスに買収された。ロックフェラー家に支配されるこの銀行業帝国は、1.6兆円以上の資産を持っている。 

1.7兆円の資産を持っているが、シティグループの未来は未確定のままである。それは、倒産に至るかもしれない深刻な財政問題に直面している。シティグループの株は、ファニーメイの株と並んで、数週間で崩壊した。リーマンの崩壊は、シティグループの株価の更なる下落を引き起こした。 

それは、“リーマン・ブラザーズが1,550億ドル借りている保護されていない債権者のための”受託会社である(It is the trustee "for unsecured creditors who are owed some $155 billion by Lehman Brothers")。しかし、シティグループの声明によれば、彼らは“破綻した投資銀行に関してリスクにさらされている額はほとんど、または全くない”とのことである(but according to Citgroup statements they "have little or no exposure to the failed investment bank." )。

これが意味することは、リーマンの崩壊が、シティグループとNYメロンの顧客、すなわち個々の投資家と同様に顧客側の銀行機関のポートフォリオに関して、大規模な債務不履行に導くであろうということである(What this means is that the collapse of Lehman will lead to massive loan default in relation to the portfolios of Citigroup and NY Mellon clients, namely client banking institutions as well as individual investors.)。
 

Note

1. This section relied on a series of unpublished notes, on the 1999 Financial Services Modernization Act, Legislation, which I wrote in November 1999. 




United States' Largest Banks

(in millions of U.S. dollars)

Rank Name (city, state) 連結資産
1. Citigroup (New York, N.Y.) $2,199,848
2. Bank of America Corp. (Charlotte, N.C.) 1,743,478
3. J. P. Morgan Chase & Company (Columbus, Ohio) 1,642,862
4. Wachovia Corp. (Charlotte, N.C.) 808,575
5. Taunus Corp. (New York, N.Y.) 750,323
6. Wells Fargo & Company (San Fransisco, Calif.) 595,221
7. HSBC North America Inc. (Prospect Heights, Ill.) 493,010
8. U.S. Bancorp (Minneapolis, Minn.) 241,781
9. Bank of the New York Mellon Corp. (New York, N.Y.) 205,151
10. Suntrust, Inc. (Atlanta, Ga.) 178,986
11. Citizens Financial Group, Inc. (Providence, R.I.) 161,759
12. National City Bank (Cleveland, Ohio) 155,046
13. State Street Corp. (Boston, MA) 154,478
14. Capital One Financial Corp. (McLean, Va.) 150,608
15. Regions Financial Corp. (Birmingham, Ala.) 144,251
16. PNC Financial Services Group, Inc. (Pittsburg, Pa.) 140,026
17. BB&T Corp. (Winston-Salem, N.C.) $136,417
18. TD Bank North, INC. (Portland, Maine) 118,171
19. Fifth Third Bankcorp (Cincinatti, Ohio) 111,396
20. Keycorp (Cleveland, Ohio) 101,596
21. Northern Trust Corp. (Chicago, Ill.) 77,480
22. Bancwest Corp. (Honolulu, Hawaii) 74,808
23. Harris Financial Corp. (Wilmington, Del.) 69,172
24. Comerica Incorporated (Dallas, Tex.) 67,167
25. M&T Bank Corp. (Buffalo, N.Y.) 66,085
26. Marshall & Ilsley Corp. (Milwaukee, Wis.) 63,432
27. BBVA USA Bancshares, Inc. (The Woodlands, Tex.) 59,953
28. Unionbancal Corporation (San Fransisco, Calif.) 57,933
29. Huntington Bancshares, Inc. (Columbus, Ohio) 55,985
30. Zions Bancorporation (Salt Lake City, Utah) 53,597
NOTE: As of May 30, 2008.
Source: Federal Reserve System, National Information Center.


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