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第28章 社会信用はあなたに何をしてくれるのか

(ヴェル・ドゥマン誌の1944年12月1日号に出版されたエドモンド・エジャーの論文)
 

先ず最初に、社会信用はお金の形式や価値を何も変えないということを指摘しておこう。誰からも1ペニーたりとも奪うことはない。

生産力と購買力の間の平衡を保つことによって、社会信用の技巧はドルの価値を守るが、それは現行の制度では出来ないことである。1945年の1ドルで、1935年の1ドルと同じだけのものが買えるだろうか? 社会信用によれば、インフレもデフレも起こらなくなる。現行の制度ではそうは行かない。実際、政府はある時には価格上昇を防ぐため、また他の時には十分なレベルに保つために法令を通して介入することを余儀なくされている。

社会信用は誰からも何も奪わず、誰もに何かを与えるのである。戦争のために、我々は敵に多くの法外なものを与えることができ、社会信用は我々の国を全く荒廃させない。我々はこれらの贈り物をする前よりも遥かにより裕福である。

家族にとって

社会信用は万民各自に生活必需品を保障するものである。家族にとって、それは保障された世帯収入となる。というのは、家族の構成員が多いほど配当も多くなるからである。

これは家族に対する敬意であり、行為を通して具体的な形となるが、前提となる保険料や現行政策の屈辱的取調べを伴わない。それはわかい男女が家庭を作り、家族を構成し。彼らの理想を追求するための手段を与えるものである。

あなた方農民にとって

農民は社会信用制度到来によって、自らの土地を離れて快適に暮らす可能性を与える。生活費を工面するために、高速道路メンテナンス工事や材木工場での労務を行うこと無しにである。社会信用制度は、彼らの子供たちに教育の機会を与え、希望する職業を目指して勉強できる余裕を与える。

消費者の購買力が増加することによって、農産物は滞りなく市場に供給されるであろう。市場を求めて探し回る必要性はなくなる。そして、本当の必要性に対応した生産物が無駄なく売買されるであろう。

近代的な機械設備がある洗練された試験農場をご存知だろうか? 生産物が売れて、生活費だけではなく、設備を発展させる手段を得たならば、それと同じような農場を持つことを妨げるものがあるだろうか?

農場を遺棄して都会に移住する農民は間違いなく減るであろう。農民は電気的機械的な助けや、より快適な家庭内設備のお陰で、家庭を守り易くなり、生活はより安楽で魅力的になるであろう。

あなた方開拓者にとって

開拓者は社会から多くを受けるに値する。というのは、国の生産的遺産拡大に寄与しているからである。 それにもかかわらず、彼の家族全員とともに、窮乏と不自由に運命付けられていないだろうか? 彼は腕力に秀でているので、楽に食って行くことができるであろうか? 彼は森林を田園に変えるために一日中働くので、空腹で完全に死んでしまわないように、会社に着々と奉仕することをしばしば強いられないだろうか?

国には既に十分な資源が発展していて、それ以上を作り出す仕事に従事する人々を容易に養うことができる。

社会信用は、万民したがって各開拓者の家族全員への基本的な生活必需品を保障するものなので。この開拓者の置かれた状況を和らげるであろう。開拓者は自分の区画地に集中することができ、速やかに成果を得て、土地を大きくするにつれて必要となる農耕具や家畜を手に入れるであろう。

あなた方労働者にとって

だが、社会信用は労働者のために何をもたらすのであろうか?

先ず第一に、恐慌したがって失業者激増の期間がなくなる。というのは、十分な需要が確保されるからである。また、人間の労働を助ける機械設備の導入とともに、労働時間は徐々に減少するであろう。しかし、雇用の減少は購買力の低下をもたらさないであろう。余暇が増えても購買力は市場で売られている生産物を購入できるレベルに維持されるであろう。人間の労働が機械設備によって置き換えられるにつれて、労賃や給料は少なくなるが、その代わりに配当金が増加する。

雇い主は、商品生産物にとっての適切な市場が確保されることで、従業員を雇い易くなるであろう。従業員は、生活必需品が保障されることでより自立的になるため、合理的な労働条件を要求し易くなる。

現行の購買力が不足する条件で事業家が戦わされている制度によって生み出されている野蛮な競争は最早存在の基盤を失うであろう。雇い主は彼の利益が従業員のそれと繋がっていることをより良く理解するであろう。 両者の間での調和は前進し、ストライキの理由は失せるであろう。

あなた方専門家にとって

社会信用によって購買力は商品だけではなくサービスも含めて全ての生産物のレベルまで行き渡るので、人々は必要性がある限り専門家の良質なサービスを求めることが可能になるであろう。

社会信用は専門性に対する政府の支配を避ける有効な手立てともなり、したがって、公務員になることなしに自分の専門技術を発揮する自由を各自が得ることができるであろう。

専門家は彼の仕事に対する料金に加えて、他の市民と同様に、その家族構成員全員とともに国民配当を受け取るであろう。

あなた方公務員にとって

公務員はどうなるのであろうか?

公務員は最早ギロチンを、すなわち政府によって仕事をカットされることを恐れる必要がなくなるであろう。先ず第一に、全ての嗜好と適正に適う開かれた様々な活動が必要となることで、ギロチンは刃先を失うであろう。もし、公務員が今日その職に強くしがみ付いているのだとするならば、その職を失った場合に、失業者になるためである。

また、ビジネス、農業、および工業における職種多様性の存在が、今日待合室を一杯にしている多くの志願者から、政府の仕事に就きたいという欲求を取り去るであろう。現在の公務員は解雇されることに対する恐れを弱めるであろう。

あなた方実業家および工場経営者にとって

街角の小売店主は、顧客がより多く、より高価な商品を買うのを目にすることで、気を悪くするはずがないであろう。

産業界は生産物が売れるならば活発になる。顧客の購買力は必要とされるレベルに保たれるので、産業界は永続的な国内市場を保障される。輸出はどうかと言えば、輸入が歓迎されるであろうから、より容易になるであろう。海外への輸出が容易になるのは、国内への輸入があってこそのことである。

生産物が配送されることによって、産業および民間事業はその目的を成就し、顧客に満足を与えるであろう。政府の支配および国営化に対する怒号の声は絶えるであろう。 社会信用は政府支配の全てを大いに嫌う。社会信用制度の下での政府は民間企業の活動に干渉しないであろう。顧客が買えて払えるという状況が達成されるように取り計らうだけである。

あなた方有権者にとって

さて、選挙権のある市民は最早毎日の3食を手に入れるために、国会議員や大臣に頼む必要がなく、より自立的でより自由になるであろう。腐敗した選挙機構は良心に対する支配力を弱めるであろう。

したがって、社会信用は選挙活動をより健全にすることに大いに寄与するであろう。この恩恵は小さくないであろう。

あなた方反対者にとって

それなら、誰が社会信用制度の到来を恐れるだろうか? 支配することを求める人々、他人から搾取して生きる人々を除いて、誰もいない。大多数の人々が奴隷状態に甘んじることなくパンを手に入れられないということがないのならば、彼らは搾取に成功できない。

だが、社会信用は彼らの野心を満足するために反対の立場に立つ人々さえ守るであろう。彼らが犯していた搾取のために、正当な理由で憤慨し、貧困さで遺恨を抱いた人々全体の爆発した怒りに遅かれ早かれ直面しなければならないことから彼らを守るのである。

間に合ううちに秩序を回復することは、革命と言う天罰、すなわち法律の陰での永続的不秩序を誘発する制度の自然な結果を避けるための唯一の方法である。



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