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第3章 消費者

   したがって、全ての経済活動の目的は、人間の必要性の満足である。必要性の満足を得るとき、人間は消費者の機能を果たす。

空腹な人間は食べる。すなわち食料を消費する。もし、寒いならば、衣服を着用するか暖をとる。すなわち、衣服または可燃物を消費する。

目的が手段を支配する状態においては、経済の全てを管理するのは消費者としての人間である。そして、全ての人間は消費者なので、生産と商品の分配を方向付けることに寄与するのは全ての人間である。

全ての経済活動は、人間・消費者のために存在する。したがって、消費者としての人間は、生産を自ら組織化しなければならない。生産者に注文しなければならないのは消費者である。

本当に人間的な経済は、我々が言ったように、社会的である。すなわち、それは全ての人間を満足させねばならない。だから、生産が注文に応じられる状況にありさえするならば、全員および各自は、少なくとも基本的な必要性を満足するために、商品の生産に対する注文が出来なければならない。

消費者以外に誰が消費者の必要性を適切に表現できるであろうか? このアパートに住んでいるこの男とこの女、彼らの家のドアのところに居る彼ら、町のどこか、あるいは田舎にいる彼ら、たとえ彼らがどこに居ようと誰であろうとも、彼らが必要とするものを彼ら以上に誰が知ることができるだろうか?

自身の必要性を知っているのは、消費者各自である。したがって、生産力が注文を受けなければならないのは、各消費者からである。消費者、全消費者の必要性を満足するように本当に組織化されたシステムにおいては、全ての消費者は必要性を表明し、その必要性に応える商品を注文する手段を持っていなければならない。

消費者の必要性以外の源からの注文に基づく生産は不当である。それにも関わらず、そういうことが起こる。必要性を少しも感じないようなものを買わせようとして、企業が消費者に圧力をかける場合がそれである。その場合、消費者からではなく、利潤追求という目的から、生産が行われる。

無能で何が必要か分からないような理性の無い消費者、動物、人間は、何を手に入れるべきかを外部から指図するような干渉を必要とすることは認める。しかし、理性的な存在は自身が必要とするものを決定できる。

したがって、消費者は通常の必要性を満足させるために有用な商品を自由に注文出来なければならない。それらの注文を表現するために採用される手段の種類が何であろうとも、一方で満足されていない通常の必要性があり、他方でそれらの必要性を満足するための商品がある限りにおいて、注文は消費者から出すことができなければならない。

 


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