金融庁告示第23号(平成23年3月31日)


別表第8

1. 外国巨大災害リスク相当額の算出

外国巨大災害リスク相当額は、2のリスク係数方式又は3の内部モデル方式のいずれかにより計算した外国巨大災害リスク相当額計算基準額に基づき、次に掲げる算式により計算した額とする。ただし、各地域における外国巨大災害リスク相当額計算基準額の合計額が国内巨大災害リスク相当額に0.1を乗じた額を下回る場合には、外国巨大災害リスク相当額の算出を要しない。

[A2+B2+C2+D2]1/2

Aは、北アメリカにおける外国巨大災害リスク相当額計算基準額

Bは、ヨーロッパにおける外国巨大災害リスク相当額計算基準額

Cは、東アジア(日本を除く。)における外国巨大災害リスク相当額計算基準額

Dは、上記以外の地域における外国巨大災害リスク相当額計算基準額

2. リスク係数方式

リスク係数方式による外国巨大災害リスク相当額計算基準額は、地域ごとに、当該地域においてリスクを有する損害保険契約に係る責任準備金(規則第70条第1項第1号に規定する普通責任準備金に相当する額とする。)の額に0.15を乗じた額と、正味収入保険料の額に0.25を乗じた額のうちいずれか大きい額とする。この場合において、保険会社又は保険持株会社の連結保険子法人等(外国保険業者に限る。3において同じ。)が、損害保険群団(連結保険子法人等が保有する一部又は全部の損害保険契約をいう。以下この表において同じ。)が当該地域にリスクを有するかどうかを区別することが困難な場合には、当該損害保険群団が当該地域に主たるリスクを有する場合に限り、当該損害保険群団に係る外国巨大災害リスク相当額計算基準額に代えて、当該損害保険群団が主たるリスクを有する地域においてすべてのリスクを有するものとみなしてリスク係数方式により計算した外国巨大災害リスク相当額計算基準額を用いることができる。

3. 内部モデル方式

外国巨大災害リスク相当額計算基準額は、リスク係数方式に代えて、地域ごとに、次の○1又は○2に定める基準を満たすモデルを用いる方式(以下「内部モデル方式」という。)を用いて算出することができる。この場合において、保険会社又は保険持株会社の連結保険子法人等が、損害保険群団が当該地域にリスクを有するかどうかを区別することが困難な場合には、当該損害保険群団が当該地域に主たるリスクを有する場合に限り、当該損害保険群団に係る外国巨大災害リスク相当額計算基準額に代えて、当該損害保険群団が主たるリスクを有する地域においてすべてのリスクを有するものとみなして内部モデル方式により計算した外国巨大災害リスク相当額計算基準額を用いることができる。ただし、内部モデル方式を用いた場合には、次の○1又は○2に定める基準に照らして内部モデル方式の使用を継続することが不適当と認められ、内部モデル方式の使用を中断する旨又はモデルに重大な変更を加える旨をあらかじめ金融庁長官に届け出た場合を除き、これを継続して使用しなければならない。

○1

工学的事故発生モデルを用いる場合には、次に掲げる要件を満たしていること。

(1)

当該モデルが、外国巨大災害リスクのリスク管理の実務において実際に使用されていること。

(2)

想定される全ての保険事故について発生場所、強度等が工学的な理論に基づいて確率論的に評価されていること。

(3)

保険事故により発生する現象が工学的な理論に基づいて評価されていること。

(4)

保険事故により発生する現象と、保険の目的について構造、用途等の属性を考慮した上で評価されたぜい弱性との関係が工学的な理論に基づいて評価されていること。

(5)

保険金の支払条件が考慮されていること。

○2

理論分布的事故発生モデルを用いる場合には、次に掲げる要件を満たしていること。ただし、当該モデルは、工学的事故発生モデルがない場合に限り使用できるものとする。

(1)

当該モデルが、外国巨大災害リスクのリスク管理の実務において実際に使用されていること。

(2)

過去の実績として同一の条件で長期間にわたり観測されたデータが使用されていること。

(3)

過去の実績として使用するデータは、物価水準、担保内容、リスクの集積状況等について適切な補正を加え現在時点に修正されたものであること。

(4)

保険事故により発生する現象と保険の目的について構造、用途等の属性を考慮した上で評価されたぜい弱性との関係が工学的な理論に基づいて評価されていること。

(5)

保険金の支払条件が考慮されていること。

(6)

未発生の巨大リスクについて、工学的な手法その他適切な方法で評価されていること。

備考
1.

第4条第1項に規定する同項第3号に掲げるリスク相当額と同様の額を用いている場合には、この表の計算対象から当該同様の額に係る保険契約を除く。

2.

内部モデル方式におけるリスク指標は、信頼水準を99.5%とするVaRと同等以上のものを用いることとする。


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