ロス五輪の年を浪人で過ごし、翌1985年に大学に入りました。授業やサークルにも慣れ、
夏休みが近づいてきました。9月に入ったらサークルの合宿があるため、夏休みはその資金を稼がねばなりません。
雑誌でアルバイトを探していましたが、帰宅途上、なぎさホテルの看板にアルバイト募集の張り紙を見つけました。
家から近いし(走って1分かからず)これはいいやと履歴書をもって玄関の扉をくぐりました。初バイトということも
ありましたが、普段見慣れない赤絨毯がより緊張感を誘います。ロビーで副支配人のSさんに
面接をしてもらい、採用されレストランでウエイターとして働くことになりました。
初日はお客の前に出ず、食器の並べ方やメニューを覚えさせられました。それ以外は、裏でコップを
ずっと洗っていました。椅子がなく、否応無しに立ちっぱなしの仕事でした。洗剤で指紋が薄くなり、
ひりひりして痛くなって来ました。「冗談じゃないよ。こんなとこやめてやる!」
労働したことのない甘っちょろい私は1日でもう止めようと考えていました。
しかし、どういう訳かそれから4年間、土日や長い休みはほとんど必ずホテルにバイトに通い続けたのでした。