大学の4年間、長期的な休みはいつもホテルに入っていました。
そのうち常連のお客様が分かってきました。特に印象的だったのは
T様とY様の2組でした。Tさんというのは、ご主人様が確かミシンメーカーの役員で
やさしい紳士で、奥様が大柄で注文の多い強烈なキャラクターでした。
(イメルダ夫人とか、大草原の小さな家のオルソン夫人とかのイメージ)たとえば、
レストランの入り口のドアが開いていたとき、下げてきた食器を手にたくさんもっていた私に
奥様が「閉めてちょうだい」とご命令され、すかさずご主人が「いいよいいよ、僕が閉めてくるから。」
となだめたときなど、おもわず笑いました。
Yさんというのは、ご夫婦ともイラストレーターでかなり有名だと思います。
いつも娘さんと息子さんと家族4人で滞在されました。お父さんは長髪で色が黒く、
目がぎょろっとしてワイルドな感じであまりしゃべらず、ときどき泳ぎにいく、
奥様は色白でパラソルの下で静かに海岸を眺めているという感じでした。
作品のイラストはかなり派手だということがあとで分かりましたが、
逗子での夏休みは静かに過ごしているいい感じのご家族でした。