保険業法(平成7年6月7日法律第105号)


第173条の4(債権者の異議)

保険株式会社が分割の当事者となる場合には、次の各号に掲げる者は、当該各号に定める保険株式会社に対し、分割について異議を述べることができる。

保険株式会社である吸収分割会社(吸収分割をする株式会社又は合同会社をいう。以下この条において同じ。)の保険契約者その他の債権者(会社法第789条第1項第2号(債権者の異議)に定める債権者であるものに限る。) 当該吸収分割会社

保険株式会社である吸収分割承継会社(吸収分割会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該吸収分割会社から承継する株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。以下同じ。)の保険契約者その他の債権者 当該吸収分割承継会社

保険株式会社である新設分割会社(新設分割をする株式会社又は合同会社をいう。以下この条において同じ。)の保険契約者その他の債権者(会社法第810条第1項第2号(債権者の異議)に定める債権者であるものに限る。) 当該新設分割会社

2.

前項の場合には、同項各号に定める保険株式会社(以下この条において「分割当事会社」という。)は、次に掲げる事項を官報及び当該分割当事会社が定款で定めた公告方法により公告し、かつ、知れている債権者(会社法第789条第3項又は第810条第3項に規定する債権者に限る。)(保険契約を承継させる分割である場合にあっては、前項第1号又は第3号に掲げる者のうち分割により承継させる保険契約に係る保険契約者及び当該知れている債権者)には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第4号の期間は、1月を下ることができない。

分割をする旨

次のイ又はロに掲げる分割の区分に応じ、当該イ又はロに定める会社の商号及び住所

吸収分割 吸収分割会社及び吸収分割承継会社

新設分割 新設分割会社及び新設分割設立会社(新設分割設立会社(新設分割により設立する株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。次条第1項において同じ。)をいう。次条第1項において同じ。)

前号イ又はロに定める株式会社の計算書類に関する事項として内閣府令で定めるもの

分割当事会社の保険契約者その他の債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨

前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項

3.

保険契約者その他の債権者が前項第4号の期間内に異議を述べなかったときは、当該保険契約者その他の債権者は、当該分割について承認をしたものとみなす。

4.

保険契約者その他の債権者が第2項第4号の期間内に異議を述べたときは、分割当事会社は、当該保険契約者その他の債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該保険契約者その他の債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該分割をしても当該保険契約者その他の債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

5.

前項の規定は、保険契約者その他保険契約に係る権利を有する者の当該権利(保険金請求権等を除く。)については、適用しない。

6.

第2項第4号の期間内に異議を述べた保険契約者(同項の規定による公告の時において既に保険金請求権等が生じている保険契約(当該保険金請求権等に係る支払により消滅することとなるものに限る。)に係る保険契約者を除く。以下この項及び次項において同じ。)の数が保険契約者(第1項の規定により異議を述べることができるものに限る。)の総数の1/10(保険契約の全部を承継させる分割である場合にあっては、1/5)を超え、かつ、当該異議を述べた保険契約者の保険契約に係る債権(保険金請求権等を除く。)の額に相当する金額として内閣府令で定める金額が保険契約者(同項の規定により異議を述べることができるものに限る。)の当該金額の総額の1/5を超えるときは、分割は、その効力を有しない。

7.

前各項の規定によりされた分割は、前項の異議を述べた保険契約者及び保険契約者に係る保険契約に係る権利(保険金請求権等を除く。)を有する者についても、その効力を生ずる。

8.

第4項の規定にかかわらず、吸収分割会社又は新設分割会社(保険契約の全部を承継させる分割を行うものを除く。)は、第173条の6第1項の規定による認可を受けた場合において、第2項の各別の催告をしなければならない保険契約者のうち、第1項の異議を述べ、かつ、保険契約が承継されることとなる場合には解約する旨を申し入れた保険契約者がいるときは、分割の前日までに、当該保険契約者に対し、被保険者のために積み立てた金額、未経過期間(当該保険契約に定めた保険期間のうち、当該保険契約が解約された時において、まだ経過していない期間をいう。)に対応する保険料その他内閣府令で定める金額を払い戻さなければならない。

9.

前各項に定めるもののほか、これらの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

10.

会社法第789条、第799条(債権者の異議)及び第810条の規定は、第1項各号に定める保険株式会社については、適用しない。

11.

第1項に規定する場合における会社法第759条第2項及び第3項(株式会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)、第761条第2項及び第3項(持分会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)、第764条第2項及び第3項(株式会社を設立する新設分割の効力の発生等)、第766条第2項及び第3項(持分会社を設立する新設分割の効力の発生等)、第791条第1項第1号(吸収分割又は株式交換に関する書面等の備置き及び閲覧等)、第801条第2項(吸収合併等に関する書面等の備置き及び閲覧等)並びに第811条第1項第1号(新設分割又は株式移転に関する書面等の備置き及び閲覧等)の規定の適用については、同法第759条第2項、第761条第2項、第764条第2項及び第766条第2項中「の規定により異議」とあるのは「又は保険業法第173条の4第1項の規定により異議」と、「)の各別の催告をしなければならないもの」とあるのは「)の各別の催告をしなければならないもの又は同法第173条の4第2項の各別の催告をしなければならないもの(同項に規定する保険契約者を除く。)」と、同法第759条第2項及び第761条第2項中「第789条第2項の各別の催告」とあるのは「第789条第2項又は同法第173条の4第2項の各別の催告」と、同法第764条第2項及び第766条第2項中「第810条第2項の各別の催告」とあるのは「第810条第2項又は同法第173条の4第2項の各別の催告」と、同法第759条第3項及び第761条第3項中「第789条第1項第2号」とあるのは「第789条第1項第2号又は保険業法第173条の4第1項」と、「同条第2項」とあるのは「第789条第2項又は同法第173条の4第2項」と、同法第764条第3項及び第766条第3項中「第810条第1項第2号」とあるのは「第810条第1項第2号又は保険業法第173条の4第1項」と、「同条第2項」とあるのは「第810条第2項又は同法第173条の4第2項」と、同法第791条第1項第1号、第801条第2項及び第811条第1項第1号中「法務省令」とあるのは「内閣府令」とする。

12.

会社法第759条第2項及び第3項、第761条第2項及び第3項、第764条第2項及び第3項並びに第766条第2項及び第3項の規定は、保険契約に係る権利を有する者、第99条第3項に規定する保険金信託業務に係る金銭信託の受益者その他の政令で定める債権者については、適用しない。


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