CL50のメンテ日誌 Part5 腰下は難しいよね 編





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2006.10.30 腰下用のガスケットキットB を買ってみた

 
こちらが購入したガスケットキットBです。
大物はともかくとして、小さなOリングなどは慣れた人
じゃないと判別が難しそうですね。

わかりやすく並べ直してみましょう


ガスケット類は全部で5枚
右上:ガスケット オイルポンプボディ
右中:ガスケット クラッチアウターカバー
右下:ガスケット クラッチカバー


左の大きな輪はステーター用の107ミリOリング
その中にあるのはギヤシフトドラム用のラバープラグ

中列のOリング類は上からそれぞれ
オイルレベルゲージ用の18×3
クラッチレバー用の14×1.5
ニュートラルスイッチ用の7×1.7
ステーター取り付けボルト用の6×1.7が2個

右の金属ワッシャはドレンコック用のパッキン

以上で全部です。
ああそうそう、クラッチレバーっていっても左手で握る
レバーじゃなくて、クランクケースに付いているレバー
のことです。蛇足ですが・・・



 なんて書くと、まるでワタシ自身が慣れた人なのかと勘違いする人もいるかも知れませんね。事実は全く違って腰下をバラした経験は皆無(人がやってるのを見たことはあるけど・・・)なのです。Oリングの分別はパーツリストと首っ引きで何とか判明しました。

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2006.11.10 まずは別のエンジンで練習してみる

 いきなり愛車のエンジンを降ろしてバラシにかかるというのも初心者にとってはリスキーなので、同種の別エンジンを入手して、これで腰下バラシの練習をしてみることにしたのだが・・・
 
シリンダーを外したところです。左クランクケースカバーは
もう外してあります。


フライホイールを外したところです。次にステーターを外し
たいのですが、キツくてどうしてもダメ。急遽ホームセンタ
ーにインパクトドライバーを買いに走ります。


インパクトドライバーはベッセルの細身のモノしかなくて、
ちょっと頼りない感じがしましたが、何とか外せました。


右クランクケースカバーを外したところです。さあ、いよい
よここからが本番!


ユニバーサル・プーリー・ホルダーでクラッチを押さえつ
つクラッチ・アウター・カバーの皿ビスをインパクトドライ
バーで外しにかかる。


クラッチ・アウター・カバーが外れました。


ロック・ワッシャーの爪をマイナス・ドライバーで起こしてか
らセンター・ロックナット・レンチで緩める。


クラッチの取り外し完了


別の角度から見たところです。


続いてプライマリ・ドリブン・ギヤを抜きます。
スナップリング・プライヤがあればカンタンです。


オイル・ポンプを外したところです。


左奥のキック・スピンドルからスプリングを外し、そのすぐ
右にあるシフト・ストッパーは6角レンチで外します。


写真にはありませんが、シフト・スピンドルが固くてなかな
か抜けませんでした。反対側から鉄の丸棒をハンマーで
打ち込んで何とか外し、次にクランク・ケースを割ります。
こちらはプラ・ハンマーで思い切り引っぱたいて無事分割
できました。


これはカンタンに外れたキック・スピンドル


左奥にあるのが苦労させられたシフト・スピンドル


クランクシャフトを外したところです。


クランクケースを裏返しにしたらギヤとワッシャーがポロ
ポロとこぼれてしまった。あれ、順番と向きはどうだったか
な?


パーツリストで順番と向きを確認。
左の列がカウンターシャフトの部品で、上から順に トップ
ギヤ24T スラストワッシャー サードギヤ27T スプライ
ンワッシャー
右の列がメインシャフトの部品で、上から トップギヤ23T
 スプラインワッシャー
これ以外の部品はサークリップで留まっています。


取りあえず元通りに差し込んで、今日の作業はここまで。
まだシフトドラム取付ボルトを外してないので、ミッション全
体は外れません。





2006.11.15 常時噛合式ミッションってどうなってんの?

 昔から疑問に思っていたのがバイクの常時噛合式ミッションの仕組みなのでした。ついに今、ようやくその謎の解ける日が来たのです、じゃーん。
 
ニュートラルの状態です。
左側がカウンターシャフトで右がメインシャフト。
ギヤはどちらも下から上へ1 → 2 → 3 → 4の順。


[1速]
カウンターシャフトの2速ギヤ(赤矢印)が下に下がったのが
わかる。
2速ギヤが1速ギヤを押さえ付けてカウンターシャフトに固
定させた状態。

これでカウンター側1速ギヤが回ればカウンターシャフト自体
も回る・・・と。


[2速]
カウンターシャフトの2速ギヤは元の位置に戻り、代わって
メインシャフトの3速ギヤ(赤矢印)が下がって2速ギヤを押さ
え付けてメインシャフトに固定させた。

このとき以外はメイン側2速ギヤは空回りなんですね。


[3速]
メインシャフトの3速ギヤは元の位置に戻り、カウンターシャ
フトの2速ギヤ(赤矢印)が今度は上に上がって、3速ギヤを押
さえ付けてカウンターシャフトに固定させた。


[4速]
カウンターシャフトの2速ギヤは元の位置に戻り、今度はメイ
ンシャフトの3速ギヤ(赤矢印)が上に上がり、4速ギヤを押さえ
付けてメインシャフトに固定させた。

このメイン側4速ギヤも、このとき以外は空回り。



 要するに4枚ずつあるギヤのうち、カウンター側の1速ギヤと3速ギヤ、それからメイン側の2速ギヤと4速ギヤはいつもは空回りしているだけで動力は伝えていない訳ですね。
 逆にその他の4枚のギヤは内側に溝が切ってあってシャフトのスプラインと噛み合っている(正確にはメイン側1速ギヤは最初からメインシャフトと一体ですが)・・・と。
そのうちのカウンター側2速ギヤとメイン側3速ギヤはシフトドラムの爪によってそれぞれ上下に動かされ、隣のギヤと組み合わさって隣のギヤをシャフトと連動させる働きをしている・・・と。 ふー、文字で表現するのは難しいなあ(^^; 実際に動きをじっくりと見てみれば感覚的にわかるんですけどね。

 うーん、どうも説明が下手で、わかりにくいですね。スミマセン。しかし誰が考えたのか知らないけど、うまい仕組みになってますね。こんなわずかなスペースでちゃんと4速切り換えができるんだから、大したもんだ。あんたはエライ!

 さて、ここで問題です。前回の最後の写真(ミッションが写ってるヤツ。オイルで汚れてて見にくいですが・・・)はいったい何速の状態でしょうか?答えは次回。

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2006.11.16 使った工具類

 ここまでの作業に使用した工具はだいたい下記のものです。なお、フライホイール外し用の工具はPart4で紹介したとおりなので省略します。
 
マイナスドライバー大中小 プラスドライバー インパ
クトドライバー 10ミリのスパナ
5ミリ6角棒レンチ ソケット(5ミリ6角棒・8・10・14)
ラジオペンチ ラチェットハンドル エキステンション2種 
ユニバーサル・プーリー・ホルダー センター・ロック
ナット・レンチ 3/8→1/2変換アダプタ
スナップリング・プライヤ プラ・ハンマー 金属ハンマー


 さて、前回の問題なんですが、




左側のカウンターシャフトで下から2枚目の2速ギヤが一番下の1速ギヤに密着しているので、これは1速の状態でした。

とか何とか言ってみても、この写真を撮った時点ではワタシにはさっぱりわからなかった訳で・・・
でも色々調べて今はわかるようになった訳で(^o^) これも一歩成長した証し・・・なのか?

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2006.11.26 ミッションをバラバラにする

 ミッションをバラバラにしてみました。後でわからなくなるのは確実なので、きちんと外した順番と向きで並べておきます。これをやっておかないと大変なことになりそう(^^;
 なぜならパーツリストはあまりアテにならない! というのは以前どこかのHPで読んだのだが、どうやらカウンター側の1速ギヤ(下の写真で一番右にある大きいギヤ)の絵が表ウラ逆になっていたりするらしいのだ。
 

こちらがカウンターシャフト。
1速ギヤには大きな窪みが6個あり、これで2速ギヤと組み合うので、窪みが2速ギヤ側になければならない。


こちらはメインシャフト。1速ギヤはメインシャフトと一体になっている。


 ところで以前ちょっと書いたけど、ワタシの目的は1速のギヤ比を変えて、もう少し伸びるようにしたいってことなんです。ならばメインシャフトとカウンター側1速ギヤのみをギヤ比の違うものに替えればいい・・・なんて言うと

ア マ ー イ !

なんて声が聞こえてきそうですネ。

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2006.11.29 ボールベアリングに関する Do・シロート考察

 CL50のミッションに使われているボールベアリングは型番6001(内径12ミリ)と6003(内径17ミリ)が2個づつです。
 
クランクケース左側。左にあるのが6003、右が6001です。
6001が滑らかにクルクル回るのに対し、6003のほうは何
かちょっと引っ掛かるような感触です。見た感じでも汚れがこ
びり付いていて、メーカー名・型番が読み取れません。


クランクケース右側。こちらのほうが見やすいですね。
6001はNTN製、6003はNACHI製のようです。




 以上をもってNTNに比べてNACHIは品質が劣るなどと断定はできません。なぜならクランクケース左側の6003はすぐ外側にオイルシールを介してドライブ・スプロケットがあるので、汚れやすい場所なのです。
 少なくとも言えることは、ここに使ってある6003は、ある程度の距離を走ったら新品に打ち替えた方が良さそうだ ということです。

おまけ CL50に使われている主なボールベアリング一覧 単位:ミリ

型番内径 d外径 D厚み B使用箇所
6001
12
28
8
ミッション
6003
17
35
10
ミッション
6000
10
26
8
クラッチ・アウター
6304
20
52
15
クランクシャフト
6301
12
37
12
フロント・ホイール
6301U
リア・ホイール


 リア・ホイールに使ってある6301Uは規格がわかりませんでした。外す機会があったら測ってみたいと思います。


2006.12. 1 腰下はやっぱり難しかった

 1速のギヤ比を変えて、もう少し伸びるようにしたいという思いで、大枚はたいて購入してみたデイトナのモンキー用4速クロスの補修パーツ3点です。
 
左上 キック用ピニオン 23T ¥4,347
右上 カウンター側1速ギヤ 34T ¥3,780
下 メインシャフト 13T ¥6,804

3点で計 ¥14,931也




 もちろんモンキー用であってベンリィ用ではないのだから、何かしらスムーズには取り付けできない理由があるだろうとは予測できましたが、なにぶん知識がないので、ともかく手に取ってみないと何とか出来るかどうかわからない訳で・・・

 で、品物が届いて理由がわかりました。メインシャフトの右端のシャフト径がベンリィは12ミリなのに対し、モンキーは14ミリだったのですね。これでは内径12ミリの6001ボールベアリングには収まりません(T_T)


やっぱり腰下は・・というより他車種パーツ流用は難しい!


 でも何か方法はないものでしょうか? ということで無い知恵絞ってあれこれ考えてみました。もちろん工作機械などはありませんので、あくまでアマチュアレベルの話ですが・・・

1.6001ボールベアリングを外して、モンキーに使われているようなニードルベアリングに変更する。ただし型番が不明だし、純正だとニードルベアリング単体ではパーツが出ない。ちょっと無理っぽいか。 もし可能なら予算的には数百円?

2.モンキーの左クランクケースを使う。この場合、メインシャフト側は良さそうだが、カウンターシャフト側のボールベアリングが型番6203となり、厚みが12ミリで、ベンリィの6003より2ミリ厚いのが気になる。それと他車種のクランクケースでは他のパーツの取り付けに問題が出る可能性があるかも知れない。 予算:中古で数千円?

3.シャフト径が12ミリの他車種の純正部品で使えるメインシャフトがないか探す。いろいろ調べたところCD90かカブ90ならシャフト径12ミリでギヤは12Tらしいというところまではわかった。 予算:新品パーツで5,000円くらいか

4.一番カンタンなのはモンキーの中古エンジンを手に入れて、その腰下をそっくり使うことだ。これなら今回購入したデイトナのパーツもそのまま使えて、しかも自動的に4速リターンにもなるし。でもなあ、それではエンジン部分でCL50のパーツはヘッドのみになってしまう。うーん、ちょっと釈然としないかも・・・ 予算:1〜2万円?