CL50のメンテ日誌 Part2




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2006. 6. 2 キタコ 75cc LIGHT ボアアップキットを組む(準備編)

 いよいよ2種登録を目指してボアアップすることにしました。ボアアップキットは何がいいのか検討を重ねましたが、結局コストパフォーマンスを重視してキタコの75cc キットを選択しました。

 ワタシの目的はハイパワーを駆使してガンガン走るというよりも、安全性を重視してあまりストレスなしに交通の流れに乗れればいいということなので、88cc とか(あるいはそれ以上)の必要性はさほど無いかなと思ったのです。
 それよりも車体の堅牢性とかブレーキ性能とかを考えると75cc くらいが現状ではベスト・チョイスかなと・・・なぜなら、かつて同じ車体でCL65 とかCL70 とかがメーカーから出ていた訳なので、まずは、その辺と同レベルの動力性能を目指していこうという訳なのです。もちろんこの先、例えば足回りやブレーキなどを徹底的にレベルアップできるのなら話は別です。


 購入したのは、このキットです。商品番号 : 212-1123480 のもので 97年以降のCL50 にももちろん対応しています。お値段はおよそ1万円となかなかリーズナブルだと思いました。
 鉄シリンダーでボア・サイズ 48ミリなのであまり無理に拡げているという印象はなく、耐久性もありそう・・・な気がします。さて、排気量を計算してみましょう。
排気量=π×r×r×h=3.14×2.4×2.4×4.14=74.88cc

 シリンダヘッドは純正のままなので回転はあまり上がらないでしょうが、トルクアップが期待できるので、また二次減速比をうまく調整できれば、そこそこスピードアップも可能だと思います。ところで圧縮比はどれくらいなんでしょうね?キットにはそういうデータは添付されていないようでしたので、正確にはわかりませんが、ピストンの頭がバルブの逃げ以外はほぼ平らなようなので、きわめて単純に考えると純正50cc の1.5倍で圧縮比15? うーむ、そんなにあるんでしょうか?いずれにしてもハイオクは必須ということでしょうね(^^;

 さて作業に入る前にいろいろと揃えなければならないものがあります。通常の工具(ソケットレンチ、メガネレンチ、スパナ、ドライバー、etc)以外に今回用意したものは

1.トルクレンチ (特にヘッドの締め付けに使える小トルクのもの)
2.プラ・ハンマー (シリンダーが外れないときに使う)
3.スクレーパー (こびりついた古いガスケットなどを削ぎ落とす:オルファ・カッターの「鉄の爪」で代用した)
4.ラジオペンチ (ピストンピン・クリップの着脱に使う:電子工作用とは別に用意した)
5.千枚通し (カムチェーンをカム・スプロケットに噛ませるとき必要)
6.オイル差し (シリンダー内面、ピストン、ピストンリングなどにオイルを塗るため:小さいもの)

といったところです。ちなみにラジオペンチ(以下ラジペン)と千枚通しは100 円ショップのもので間に合わせたのですが、今回の作業のみでラジペンは先端のギザギザが無くなってしまい、千枚通しに至っては先がヘロヘロに曲がってしまって、結局別のものを買い直すことになりました(笑)

 トルクレンチはPro-Autoなる台湾製と思しき安価なもの(型番TR308-525 6,500 円ほど)を入手しましたが、カチッと鳴るタイミングが自分の「そろそろだな」という経験的トルク感?とほぼ一致したので、ちょっと気に入りました(いいのか?)

 さて作業開始の前日の夜、取り外すべきボルト類にたっぷりとCRC556 を吹き付けて、準備万端!・・・なのか?


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2006. 6. 4 キタコ 75cc LIGHT ボアアップキットを組む(実践編その1)

 さて作業日となりました。添付されている説明書の番号にしたがって次々と部品を外していきます。なお下記の番号は説明書の番号と一緒です。

1.ジャッキアップするように書いてありましたが、CL50 の場合必要なしと判断しました。

2.エンジン・オイルも抜かずに作業しました。→ずぼら

3.プラグキャップとマフラーを取り外します。プラグは特に外さなかった。

4.左側ジェネレー○○○○○カバーを外せと書いてあったが、印刷がかすれて判読不能。ワタシの超能力で○○○○○の部分は「ターケース」と透視。ふつうクランクケースカバーって言いません?ちなみにチェンジレバーを先に外しておいたほうがやりやすいみたい。

5.フュエルコックをOFFにするが、勿体ないのでキャブのガソリンは捨てず→ケチ!

6.マニホールドのM6ボルト2本を外す。キャブをちょっと持ち上げてみてフリー状態になることを確認。

7.左右のヘッド・サイドカバーを外そうとしたが、右側が妙に固いので左側(カムチェーンのあるほう)のみ外しました。右サイドカバーの真ん中あたりにある長い(110ミリ)ボルトで左サイドカバーが止まっているので、緩めたあと抜かずにボルトの頭を軽く叩いてやれば左サイドカバーはポコッと外れます。

8.カムスプロケットを外す。

9.ヘッドカバーのM6ナット4個とヘッド左側のM6ボルトを外し、ヘッドカバー、シリンダヘッドを外す。あ、ここで右とか左というのは、自分がバイクに跨った状態での左右です。前日に556を吹いておいたので、気持ちよくボルト・ナット類が外れてくれます(^o^)
 だんだん外したボルト・ナット類が増えてくるので、後で間違わないようきちんと整理しておきます。

10.まずカムチェーン・ガイドローラーを外し、次にシリンダ左側のM6ボルトを外してシリンダを外そうとするが、案の定こびり付いていて全く外れる気配なし。プラハンマーであちこちひっぱたくこと数回、やっとグラッと隙間が出来てくれました。
    
    写真1 こちらが外したシリンダー          写真2 こちらピストン。カーボンがうっすらと

11.ピストンを外すため苦労しながらラジペンでピストンピン・クリップを外す。次にピストンピンをスライドさせようとするが固くてなかなか動かない。マイナスドライバを押し当てて何とか外した。



 ここから、いよいよボアアップキットの組み付けにかかります。その前に固着した古いガスケット類は「鉄の爪」でコツコツ取り除きます。これがけっこう面倒なんですよネ。

12.前日のうちにピストンリングを組み付けておいたピストンをコンロッドに取り付けます。ピストンピン・クリップが固くてちょっと苦戦。

13.ピストンリングを押さえつつピストンをシリンダにそーっと挿入していきます。初めての挿入なので優しくネ。もちろんローション・・・じゃなかったオイルを十分塗っておくわけです。
 それと、もちろんカムチェーン・ガイドローラーも忘れずに組み付けます。

14.シリンダヘッドを組み付けます。ところで(今度は前から見て)左上と右下のスタッドボルトにノックピンを通すわけですが、右下のヤツが古いシリンダに固着してしまって、どうしても外れません。(ペンチで無理やり抜こうとしたので、上の写真1のとおりノックピンがメロメロ状態です)
 かといって新品は用意してなかったので、困りました。しょうがないので取りあえずノックピン1個なしで組んじゃいました(^^; あとでやり直さないとなア。

15.シリンダヘッド・カバーを組み付けます。後でもう一度説明書を見たらヘッドカバー・ガスケットは1箇所しか合わないって!?あれ、気にせず付けちゃったけど大丈夫かな。要・再チェックですね。

16.カム・スプロケットにバルブ・タイミングが合うようにカムチェーンを掛けてM5ボルト2本で組み付けます。と書くと簡単そうですが、実際は相当難しいです。そもそもスプロケにどうしてもチェーンが掛かりません(泣)ここの部分については次回もう少し詳しく書く予定です。

17.バルブ・クリアランスは今回いじっていないのでパス。

18.なのでタペット・キャップも取らなくていいんですが、せっかくキットにOリングが付属しているので新品交換しときました。

19.左側のヘッド・サイドカバーを取り付けます。

20.マフラーを取り付けます。

21.プラグ・キャップ、キャブなどを取り付けていちおう完了です。ああ疲れた。

 4スト・エンジンをバラすのは初めてです。昔はバルブ・タイミングを合わせるのが難しい(というか頭がこんがらがってよくわからない)と思い込んで敬遠していたのでした。確かに2ストに比べると複雑ですが、今はそこが面白い。組み上げると何ともいえず達成感がわき起こってきます。いい意味で大人のオモチャかも。

 なお、組み込みにあたってはスーパーカブカスタム50 75ccボアアップ化日記を参考にさせていただきました。写真がたくさんあって分かりやすかったです。今回ワタシのほうは作業で手一杯で写真を撮る余裕はありませんでした。14.で書いたとおりノックピンを1個入れ直さないといけないので、そのときはぜひ写真撮影も行いたいと思っております。


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2006. 6. 4 キタコ 75cc LIGHT ボアアップキットを組む(実践編その2)

 ワタシと同様に初めてボアアップキットを組む場合、たぶん最も苦労するのがカム・スプロケットにカムチェーンを掛けて組み付けるところではないかと想像します。
 左側のヘッド・サイドカバーを開けた丸い穴のところで作業するわけですが、そもそも、いくら頑張ってもチェーンが掛からないのです。30分くらいずっと、しゃがんだまま作業をつづけてもダメで、100円の千枚通しはひん曲がってしまうは腰は痛くなるはで、いいかげん嫌気が差してきたので、いったん諦めて工具類を片づけ、「今日はもうダメかもしんないな」ってな感じで気分転換にのんびりお茶してました。

 「あーあ、天気もいいしどっかドライブでも行こうか」なんて、完全にリラックスしていたとき、突如ひらめきました。そうだ、ついさっきコレを外したんだから、その逆をやればいいんじゃない・・・って、当たり前ですよね。
 外したときのことをよーく思い出してみると、確かボルトを外したらスプロケがチェーンと一緒にズズーッとシリンダのほう(右下のほう)へ落ちていってしまって、引っ張り上げたときにはチェーンは勝手に外れていたような感じでしたね。

 つまり丸い穴のところじゃなくて、もっと右寄りの、スプロケがもうほとんど見えなくなるあたりならチェーンはゆるゆるなんですわ。焦っていると、そんな簡単なことさえ気づかない。それさえわかればチェーン掛けは割とラクにできました。
 しかし最後の難関が・・・スプロケがカムシャフトに、あとちょっとのところで嵌ってくれません。もちろんテンショナーは緩めてあるけどダメ!ここはもうマイナスドライバーを使いテコの原理で無理やり押し込んで、ふう、出来たヨ!ヨカッタネ(破顔一笑)


カムスプロケット。もうちょっとで嵌るんだが・・・



よし、嵌ったあ(^o^) もちろんフライホイールのTマーク
を切り欠けに合わせたときに、スプロケの○印がヘッド
の切り欠けに合っていることを確認。



2006. 6. 6 ボアアップのインプレと黄色ナンバー取得

 ともかくボアアップができたので、試走を兼ねてガソリンスタンドまでハイオクを入れに行きました。エンジンを掛けようとすると、むむキックがかなり重い。以前250cc の4スト単気筒に乗っていたけど、勝るとも劣らないくらいの重さです。これは圧縮がちゃんとある(漏れていない)ということなんでしょう。圧縮比15 はダテじゃない→本当か? 数字は適当なので、あまり本気にしないでね。

 キック3発目くらいでエンジン始動!以前よりかなり重々しい音になったような気がします。走り出してみましたが、トルクアップはさほど感じません。まあ、まだほんの数キロですからね。それにキャブもエアクリーナーもマフラーも純正のままなんで、必ずしも本来の性能が出ているわけでもないでしょう。慣らしもまだまだこれからですしね。この先100キロは一応慣らし運転です。その間、あまり回転を上げないためにもドライブ・スプロケを15Tにするかどうか考慮中。

 ハイオクはホンの2Lしか入りませんでした。ってことは約4Lのレギュラーとの混合ってことに・・・前もってハイオク入れておくべきでしたね。ま、いいか。


 2日後、市役所の納税課へ二種登録に出向きました。持っていったものは

1.取り外した原付のナンバー
2.原付ナンバーの交付証明書
3.ボアアップキット購入店の納品書
4.みとめ印
5.排気量変更届出書(倉敷市の様式を参考に自分でワープロで作ったもの)

です。このうち1から4までは絶対に必要だったようですが、5の排気量変更届出書は、まあ「参考程度に受け取っておきましょう」みたいな感じでしたね。
 さらに「何cc になったのか証明できるものはありますか?」と聞かれたのですが、幸い3の納品書に75cc とハッキリ書いてあったのでセーフ!でした。
 あとは窓口で

6.原付の廃車申請書
7.原付二種の新規登録申請書
8.よく憶えていないけど、何かあったとき責任は市役所にはなく、自己責任だという申立書みたいなもの

を書かされて、無事二種の登録完了。黄色いナンバーをもらって感無量!そもそもお役所ってところは、書類さえバッチリ揃っていれば大抵のことは大丈夫なんですよね。その後、保険会社で自賠責の書き換えもやって、結局1円もかからず手続きは全部終わりました。
 これで60Km/h で走ってもいいんだよね。安心して交通の流れに乗れます。すんごい努力して道交法の三大目的の一つ「交通の円滑」に協力するわけだから表彰されてもいいくらい? んなわけねーだろ! はいはい。


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2006. 6.11 再度ヘッド外し 今度は完璧?

 純正部品のノックピンが入手できたので、もう一度ヘッドを外してノックピンを入れました。

 
新品の 8×14 ノックピンです。
部品番号 94301-08140
  マフラーです。写真ではよく見えないと思いますが、カー
ボンがびっしりです。
 
もうひとつ気になっていたところはヘッドカバー・ガス
ケットです。やっぱり表ウラ間違えてました。
  これでOKです。左下あたりのカーブが違いますね。
  ヘッドもカーボンがうっすらと付いてます。

緑色のビニール紐はカムチェーンが落ちないように掛けて
あります。
   
 
右下のノックピンがありません。
  新品のノックピンを入れました。


 説明書によると、フライホイールのTマークを描き直して点火時期を早めるようにとのことでしたが、特殊工具なしで一人でフライホイール外しは無理(昔、カブのOHVエンジンなら二人がかりでよくやったもんですが)なので、当分見送りということに・・・


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2006. 6.14 ドライブ・スプロケを15Tに変更

 以前書いたとおりドライブ・スプロケを15Tに変更してみました。

 左が14T、右が15T、どちらもキタコ製です。
   
  15Tを取り付けたところです。スプロケがきれい
なのにそのまわりの汚さといったら・・・

[ついでに備忘録]
左上のうす緑/赤のコードはニュートラルスイッチのもの。
最近ニュートラルランプがときどき点灯しなかったりするが、
この部分の錆が原因かも。あとで 556 しておこ。


 これで二次減速比はさらに小さく 2.866(= 43/15)になりました。以前載せたのと同様の表を掲げます。各段の7,000rpm(最高出力時回転数)での速度です。60Km/hまでは無理なく出せるはずなので、数字的にはちょうど良さそうですが・・・

7,000rpm時 13Tのとき14Tのとき15Tのとき
二次減速比 3.3073.0712.866
1速  16Km/h 18Km/h 19Km/h
2速  28Km/h 30Km/h 33Km/h
3速  40Km/h 43Km/h 47Km/h
4速  52Km/h 56Km/h 61Km/h


 ちなみに4速で50Km/h 以下に押さえて走れば、回転数は5,700〜5,800rpm くらいなので、いちおう慣らし運転になるでしょう。なるんじゃないかな? なって欲しい(^^;


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