金融庁告示第74号(令和7年7月23日)


第42条(Tier2資本調達手段の額)

前条第1項第1号に掲げるTier2資本調達手段の額は、保険会社等が発行又は組成したものに係る次の各号に掲げる額の合計額とする。

算入制限のあるTier1資本調達手段の制限を超過した額

払込済みTier2資本調達手段(構造上の劣後性を有するもの以外)の額

払込済みTier2資本調達手段(構造上の劣後性を有するもの)の額

払込未済のTier2資本調達手段の額

2.

前項第1号の算入制限のあるTier1資本調達手段の制限を超過した額は、第38条第3項に規定する算入制限のあるTier1資本調達手段(上限適用前)の額から、同条第4項に規定する算入制限のあるTier1資本調達手段の上限額を控除した額とする。ただし、0を下回る場合は0とする。

3.

第1項第2号の払込済みTier2資本調達手段(構造上の劣後性を有するもの以外)の額は、次の各号に掲げる要件の全てを満たすものであって、Tier1資本調達手段の額又は算入制限のあるTier1資本調達手段の制限を超過した額に含まれないものの額(ただし、基金以外の資本調達手段であり、ロックイン条項を有しない場合であって、かつ、実質償還期限までの期間が5年以内になったものについては、貸借対照表計上額に、基準日から当該実質償還期限までの期間の日数を当該実質償還期限までの期間が5年になった日から当該実質償還期限までの期間の日数で除して得た割合を乗じて得た額とする。)の合計額とする。

発行者により現に発行され、かつ、払込済みのものであること。

残余財産の分配又は倒産手続きにおける債務の弁済若しくは内容の変更について、保険契約者及び他の非劣後の債権者に対して劣後的内容を有するものであること。

発行時から実質償還期限までの期間が5年以上であること。

償還等を行う場合には、発行後5年を経過した日以降に発行者の任意による場合に限り償還等を行うことが可能であり、かつ、償還等に際し、発行者の保険金等の支払能力の充実の状況について、あらかじめ金融庁長官の確認を受けるものとなっていること、又は発行後5年を経過した日より前の償還等であって、次のイからハまでに掲げる要件の全てを満たすものであること。

発行者の任意による場合に限り償還等を行うことが可能であること。

償還等に際し、発行者の保険金等の支払能力の充実の状況について、あらかじめ金融庁長官の確認を受けるものとなっていること。

償還等以前において、償還等される資本調達手段と同等以上の質が確保されるものに置き換えられること。ただし、発行時に合理的に予期できなかった税制上又は規制上の事由であって著しく影響の大きいものによる償還等の場合及び資本調達手段が基金の場合は、この限りでない。

買戻しに際し、発行者の保険金等の支払能力の充実の状況について、あらかじめ金融庁長官の確認を受けるものとなっていること。

実質償還期限の決定において考慮されているステップ・アップ金利等又はその他の償還等を行うインセンティブを除き、発行者が発行時に将来にわたり償還等又は買戻しを行う期待を生じさせず、かつ、当該期待を生じさせる内容が定められていないこと。

剰余金の配当額又は利息の支払額が、発行後の発行者の信用状態を基礎として算定されるものでないこと。

清算時を除き、発行者が債務の履行を怠った場合における保有者に対する期限の利益喪失についての特約が定められていないこと。

担保権による担保、保証その他これらに類する保有者を保護するための措置(発行者又は当該発行者と密接な関係を有する者による請求権の優先順位に影響を与えるような保証又は保全を含む。)によって、毀損し、又は法令上若しくは契約上無効とされていないこと。

保険会社等(連結ベースの計算においては連結子会社等以外の子会社等を含む。以下この号において同じ。)により取得されておらず、かつ、取得に必要な資金が保険会社等により直接又は間接に融通されたものでないこと。

十一

特別目的会社等が発行する資本調達手段である場合には、発行代り金を利用するために発行される資本調達手段が前各号に掲げる要件の全てを満たし、かつ、当該資本調達手段の発行者が発行代り金の全額を即時かつ無制限に利用可能であること。

4.

第1項第3号の払込済みTier2資本調達手段(構造上の劣後性を有するもの)の額は、保険持株会社(連結子会社等であって保険持株会社その他これに類する外国の会社を含む。以下この項において同じ。)が発行した資本調達手段の発行代り金のうち、連結子会社等(保険契約を有する者に限る。)に融通しているものであって、前項第1号、第3号から第11号まで及び次の各号に掲げる要件の全てを満たすもののうち、Tier1資本調達手段の額、算入制限のあるTier1資本の制限を超過した額又は払込済みTier2資本調達手段(構造上の劣後性を有するもの以外)の額のいずれにも含まれないものの額(保険持株会社が発行した資本調達手段又は当該資本調達手段の発行代り金の全部若しくは一部の連結子会社等への融通の手段(以下この項において「ダウンストリームの手段」という。)がロックイン条項を有しない場合にあっては、保険持株会社が発行した資本調達手段がロックイン条項を有しないときの当該資本調達手段における実質償還期限又はダウンストリームの手段がロックイン条項を有しないときの当該手段における実質償還期限のうちいずれか早い期限(以下この項において「算入可能期限」という。)までの期間が5年以内になったものについて、連結子会社等へ融通した額に、基準日から当該算入可能期限までの期間の日数を当該算入可能期限までの期間が5年になった日から当該算入可能期限までの期間の日数で除して得た割合を乗じて得た額とする。)の合計額とする。

ダウンストリームの手段が第38条第2項各号(第11号を除く。)に掲げる要件の全てを満たすもの、同条第3項各号(第12号を除く。)に掲げる要件の全てを満たすもの又は前項各号(第10号を除く。)に掲げる要件の全てを満たすものであること。

発行者が保険契約を有しない保険持株会社であること。

保険持株会社が発行した資本調達手段の発行代り金が適切に追跡され、金融庁長官に確認されていること。

発行代り金を利用している連結子会社等が、剰余金の配当に対する適切な規制及び監督を通じて構造上の劣後性が適切に確保される規制上の枠組みを有する法域に所在していること。

発行者が日本に所在する保険持株会社の場合にあっては、契約書若しくは発行要項又はこれらの関連書類(金融商品取引法第2条第10項に規定する目論見書及び同法第172条の2題3項に規定する発行開示書類並びに金融商品取引所(同法第2条第16項に規定する金融商品取引所をいう。)の規則に基づき開示される書類その他これらに類する書類(外国の法令又は外国の金融商品取引所(金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号)第2条の12の3第4号ロに規定する外国の金融商品取引所をいう。)の規則に基づき作成されるものを含む。)を含む。)中に、発行者において当該債務は払込済みTier2資本調達手段(構造上の劣後性を有するもの)として取り扱われることを適切に記載していること。

5.

第1項第4号の払込未済のTier2資本調達手段の額は、次の各号に掲げる要件の全てを満たすものにおいて資本が提供された場合の当該資本の額の合計額(ただし、報告保険会社等が相互会社でない場合は0とする。)又は次章に定める所要資本の額に10%を乗じた額のうちいずれか小さい額とする。

第三者からの払込未済資本であって、かつ、保険会社等の求めに応じて資本を提供するコミットメントがあるもの

相互会社である保険会社等によって組成された金融商品等であって、かつ、次のイからヘまでに掲げる要件の全てを満たすことが金融庁長官により確認されているもの

当該保険会社等の要請により資本が提供され、かつ、資本提供の実施又は資本提供のインセンティブを阻害するいかなる条件も適用されないこと。

資本が提供された場合は、当該金融商品等はTier1適格資本の額又はTier2適格資本の額(払込未済のTier2資本調達手段の額を除く。)に算入するための要件を満たすこと。

当該金融商品等が、関連する各法域において、法的有効性を有すること。

当該保険会社等が資本の提供を要請した場合に、資本を提供する契約の相手方が合意された金額を支払うことができ、支払う意思もあること。

担保権による担保、保証その他これらに類する保有者を保護するための措置によって、毀損し、又は法令上若しくは契約上無効とされていないこと。

金融庁長官による当該金融商品等に関する確認に影響を与え得るあらゆる事実又は状況の変化について、当該保険会社等が金融庁長官に対して通知するものであること。


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