金融庁告示第74号(令和7年7月23日)


第125条(不動産以外の資産エクスポージャーに係る資産集中リスクの額)

前条第1号に掲げる不動産以外の資産エクスポージャーに係る資産集中リスクの額は、次の算式を用いて算出する。

ACNon-REEi>TとなるiACiNon-RE+0.71656×T×ΣEi≦Tとなるi(0.95Kieq+Kicr)/(0.95Keq+Kcr)

ACNon-REは、不動産以外の資産エクスポージャーに係る資産集中リスクの額

ACiNon-REは、取引相手方グループiに対する上限適用後資産集中リスクの額

Eiは、取引相手方グループiに対する正味エクスポージャーの額(次項において同じ。)

Tは、報告保険会社等が任意に定める閾値(ただし、Ei>Tを満たす取引相手方グループの数が10以上100以下となるように定めるものとする。)

Kieqは、取引相手方グループiに対するエクスポージャーに係る株式リスクの額(資産集中リスク計算用)

Kicrは、取引相手方グループiに対するエクスポージャーに係る信用リスクの額(資産集中リスク計算用)

Keqは、株式リスクの額(資産集中リスク計算用)

Kcrは、信用リスクの額(資産集中リスク計算用)

2.

前項のACiNon-REは、次の算式を用いて算出する。

ACiNon-RE=0.71656×Ei×[0.95×(Kieq−Kieq*)+(Kicr−Kicr*)]/[0.95Keq+Kcr]+min[0.71656×(0.95EiKieq*)/(0.95Keq+Kcr)iEieq*]+min[0.71656×EiKicr*)/(0.95Keq+Kcr)iEicr*]

Eieq*は、取引相手方グループiに対する上限対象株式エクスポージャーの額

Eicr*は、取引相手方グループiに対する上限対象信用エクスポージャーの額

Kieq*は、取引相手方グループiに対する上限対象株式エクスポージャーに係る株式リスクの額(資産集中リスク計算用)

Kicr*は、取引相手方グループiに対する上限対象信用エクスポージャーに係る信用リスクの額(資産集中リスク計算用)

αiは、取引相手方グループiに対する株式エクスポージャーの上限係数

βiは、取引相手方グループiに対する信用エクスポージャーの上限係数

3.

取引相手方グループとは、次の各号に掲げる関係のいずれかを有する複数の取引相手方から成るグループをいう。ただし、当該関係のいずれかを有する他の取引相手方が存在しない取引相手方については、当該取引相手方を取引相手方グループとみなす。

支配関係(1の取引相手方が直接的又は間接的に1又は2以上の他の取引相手方に対する支配権を有している関係をいう。)

経済的相互依存関係(1の取引相手方が資金調達又は返済に困難が生じた場合等財務上の問題に直面した場合に、結果として1又は2以上の他の取引相手方も資金調達又は返済に困難が生じる可能性が高いと認められる関係をいう。)

4.

正味エクスポージャーの額の算出方法は、次の各号に定めるところによる。

正味エクスポージャーの額は、経済価値ベースの評価額に基づくオン・バランス及びオフ・バランスのポジションを含めるものとし、資産エクスポージャーを負債エクスポージャーと相殺した(相殺する権利に法的有効性がある場合に限る。)ネット・ポジションの額とする。

前号において、次のイからヘまでに掲げるエクスポージャーの額は除外する。

第130条第2項第1号の規定に基づき、信用エクスポージャーから除外されたもの

次節第3款に規定する信用リスク削減手法のうち、第145条及び第152条に規定する置換えアプローチが適用された場合であって、第130条第2項第1号に規定する信用エクスポージャーの除外対象に置き換えられたもの

次節第3款に規定する信用リスク削減手法のうち、第145条及び第152条に規定する置換えアプローチが適用された場合であって、第145条第2号又は第152条第1項第3号の規定によりリスク係数を0%としたもの

特別勘定等の資産又は資産運用に伴うリスクが完全に保険契約者に転嫁されている保険契約に係る資産

信用保険に係るエクスポージャー

店頭デリバティブ取引に係るもののうち、中央清算機関(金融商品取引法第2条第28項に規定する金融商品債務引受業を営む者及び商品先物取引法(昭和25年法律第239号)第2条第17項に規定する商品取引債務引受業を営む者並びに外国の法令に準拠して設立された法人で外国において金融商品債務引受業又は商品取引債務引受業と同種類の業務を行う者をいう。)へのエクスポージャー

第1号の正味エクスポージャーの額の算出において、再保険契約に係るエクスポージャーにあっては、第130条第5項に掲げる再保険による所要資本の額の削減額は含めないものとする。

第1号の正味エクスポージャーの額の算出において、オフ・バランスのポジションは、次節第2款に規定する店頭デリバティブ取引(クレジット・デリバティブ取引(金融商品取引法第2条第21項第5号に掲げる取引のうち同号イに掲げる事由に係る取引、同条第22項第6号に掲げる取引のうち同号イに掲げる事由に係る取引及び同条第23項に規定する外国市場デリバティブ取引のうち同条第21項第5号イに掲げる取引に類似する取引をいう。以下この節及び次節において同じ。)を除く。)の信用エクスポージャーの額及び店頭デリバティブ取引(クレジット・デリバティブ取引を除く。)以外のオフ・バランス取引に係る信用エクスポージャーの額に基づくものとする。

5.

第1項及び第2項のKieq、Keq及びKieq*における株式リスクの額(資産集中リスク計算用)は、正味エクスポージャーの額のうち、第116条第1項に規定する株式リスクの資産区分に含まれるエクスポージャーに対して、第4款の規定に基づき算出した株式リスクの額とする。ただし、第118条の規定にかかわらず、資産区分ごとに計算した水準ストレスに対するリスクの額及びボラティリティ・ストレスに対するリスクの額の合計額とし、第46条の規定にかかわらず、マネジメント・アクションの効果を考慮しないものとする。

6.

第1項及び第2項のKicr、Kcr及びKicr*における信用リスクの額(資産集中リスク計算用)は、正味エクスポージャーの額のうち、次節第2款第1目に規定する信用エクスポージャーに含まれるエクスポージャーに対して、次節の規定に基づき算出した信用リスクの額とする。

7.

前項の計算に当たって、次節第3款に規定する信用リスク削減手法のうち第145条及び第152条に規定する置換えアプローチを適用した場合には、当該信用リスク削減手法によって保護された正味エクスポージャーの額は、当該正味エクスポージャーの取引相手方が属する取引相手方グループから、信用リスク削減手法の提供者が属する取引相手方グループに置き換えるものとする。

8.

第6項の計算に当たって、次節第3款に規定する信用リスク削減手法のうち第146条第2項に規定するヘアカット・アプローチを適用した場合には、同項に規定する調整後再保険エクスポージャー(ただし、同項第2号イに規定する担保付損害再保険契約に係る巨大災害リスクの額は0とする。)を正味エクスポージャーの額とする。

9.

第2項のEieq*は、単体ベースにあっては正味エクスポージャーの額のうち子会社株式の額及び関連会社株式の額、連結ベースにあっては0とする。

10.

第2項のαiは、10%とする。

11.

第2項のEicr*は、正味エクスポージャーの額のうち、次の各号に掲げるものの区分に応じ、当該各号に定めるものの額の合計額とする。

グループ内再保険エクスポージャー 第129条第1項第6号に規定する再保険に分類されたエクスポージャーであって、保険会社等が取引相手方グループiに属するもの

その他の資産 第129条第1項第8号に規定するその他の資産

12.

第2項のβiは、次の表の左欄に掲げる取引相手方グループの格付区分に応じ、同表の右欄に定める上限係数とする。

取引相手方グループの格付区分 上限係数(%)
1又は2 2
3 3
4 5
5 10
6又は7 20
無格付 15
債務不履行状態 20

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