大蔵省告示第50号(平成8年2月29日)


第1条(資本金、基金、準備金等の計算)

保険業法施行規則(以下「規則」という。)第86条第1項第161条第1項及び第190条第1項に規定する繰延税金資産(税効果会計(貸借対照表又は日本における保険業の貸借対照表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得の計算の結果算定された資産及び負債の金額との間に差異がある場合において、当該差異に係る法人税等(法人税その他利益又は剰余に関連する金額を課税標準として課される租税をいう。以下この項において同じ。)の金額を適切に期間配分することにより、法人税等を控除する前の当期純利益又は当期純剰余の金額と法人税等の金額を合理的に対応させるための会計処理をいう。以下同じ。)の適用により資産として計上されるものをいう。以下同じ。)の不算入額(以下「不算入額」という。)は、価格変動準備金、支払備金、責任準備金(規則第61条第1号に規定する生命保険株式会社にあっては契約者配当準備金を含み、規則第30条の5第3項に規定する生命保険相互会社にあっては社員配当準備金を含む。)及び評価・換算差額等(規則第86条第1項第1号に規定する評価・換算差額等をいう。)に係る繰延税金資産以外の繰延税金資産の額から、次の各号に掲げる額の合計額(ただし、当該合計額が零未満の場合は零とし、以下「繰延税金資産算入基準額」という。)の20/100に相当する額を控除した残額とする(当該控除した残額が零未満となる場合は、零とする。)。ただし、事業開始後10事業年度を経過していない生命保険会社又は事業開始後5事業年度を経過していない損害保険会社については、零とする。

規則第86条第1項第1号から第3号の2まで、第161条第1項第1号から第3号の2まで又は第190条第1項第1号から第3号の2までに掲げる額

規則第86条第1項第5号の合計額、第161条第1項第5号の合計額又は第190条第1項第5号の合計額(当該合計額がそれぞれ零を下回る場合に限る。)

生命保険会社(外国生命保険会社等(保険業法(平成7年法律第105号。以下「法」という。)第2条第8項に規定する外国生命保険会社等をいう。以下同じ。)及び法第219条第4項の免許を受けた者の引受社員(同条第1項に規定する引受社員をいう。以下同じ。)を含む。以下同じ。)にあっては第4項第1号イ(1)から同号イ(2)を控除した額、損害保険会社(外国損害保険会社等(法第2条第9項に規定する外国損害保険会社等をいう。)及び法第219条第5項の免許を受けた者の引受社員を含む。以下同じ。)にあっては同号ロ(1)から同号ロ(2)を控除した額

第4項第2号及び第4号に掲げる額

2.

規則第86条第1項第5号第161条第1項第5号及び第190条第1項第5号に規定する金融庁長官が定める率は、90/100(規則第86条第1項第5号の合計額、第161条第1項第5号の合計額又は第190条第1項第5号の合計額がそれぞれ零を下回る場合には、100/100)とする。

3.

規則第86条第1項第6号第161条第1項第6号及び第190条第1項第6号に規定する金融庁長官が定める率は、85/100(保険会社(外国保険会社等(法第2条第7項に規定する外国保険会社等をいう。以下同じ。)及び引受社員を含む。次条第2項を除き、以下同じ。)が有する土地(外国保険会社等及び引受社員にあっては、日本において有する土地)の時価が帳簿価額を下回る場合にあっては、100/100)とする。

4.

規則第86条第1項第7号第161条第1項第7号及び第190条第1項第7号に規定する金融庁長官が定めるものの額は、次に掲げる額とする。

保険料積立金等余剰部分(次に掲げる額をいう。)

生命保険会社にあっては、次の(1)に掲げる額から次の(2)及び(3)に掲げる額の合計額を控除した残額

(1)

保険料積立金及び未経過保険料の合計額

(2)

保険契約の締結時の費用を保険料払込期間にわたり償却する方法その他これに類似する方法により計算した保険料積立金の額に未経過保険料を加えた額又は保有する保険契約(外国生命保険会社等及び法第219条第4項の免許を受けた者の引受社員にあっては、日本における保険契約)が保険事故未発生のまま消滅したとして計算した支払相当額のうちいずれか大きい額

(3)

保険金等の支払能力の充実の状況を示す比率の算出を行う日(以下「算出日」という。)において、規則第69条第5項の規定に基づき追加して積み立てた保険料積立金の額を積み立てていないものとした場合に、法第121条第1項に基づき保険計理人が行う確認その他の検証により、追加して積み立てておくことが必要である保険料積立金の額

損害保険会社にあっては、法第4条第2項第4号に掲げる書類において、保険契約の締結時の費用を保険料払込期間にわたり償却する方法で積み立てることを規定している契約について、次の(1)に掲げる額から次の(2)及び(3)に掲げる額の合計額を控除した残額

(1)

払戻積立金の額

(2)

法第4条第2項第4号に掲げる書類に記載された方法に従って計算した払戻積立金の額(規則第70条第3項の規定に基づき追加して積み立てた払戻積立金の額を除く。)

(3)

算出日において、規則第70条第3項の規定に基づき追加して積み立てた払戻積立金の額を積み立てていないものとした場合に、法第121条第1項に基づき保険計理人が行う確認その他の検証により、追加して積み立てておくことが必要である払戻積立金の額

配当準備金未割当部分(株式会社にあっては、契約者配当準備金のうち、保険契約者(外国保険会社等及び引受社員にあっては、日本における保険契約者)に対し契約者配当として割り当てた額を超える額をいい、相互会社にあっては、社員配当準備金(社員配当準備金繰入額から翌期配当所要額を控除した額を含む。)のうち、社員に対する剰余金の分配として割り当てた額を超える額をいう。)

税効果相当額(任意積立金の取崩しを行うこと等によりリスク対応財源として期待できるものの額をいう。)として次の算式により得られる額(繰延税金資産の総額が零である保険会社(繰延税金資産の算定にあたり繰延税金資産から控除された額がある会社に限る。)にあっては、零)

A×t/(1−t)

この算式において、A及びtは、それぞれ次の数値を表すものとする。

A

次に掲げる区分に応じて計算した額

株式会社 貸借対照表の純資産の部の利益剰余金の額から利益準備金、剰余金の処分として支出する額、利益準備金に積み立てる額及びこれに準ずるものの額の合計額を控除した額(当該控除した額が零未満となる場合は、零とする。)

相互会社 貸借対照表の純資産の部の剰余金の額から損失てん補準備金、剰余金の処分として支出する額(社員配当準備金に積み立てる額を含み、社員配当平衡積立金に積み立てる額を含まない。)、損失てん補準備金及び基金償却積立金に積み立てる額並びにこれに準ずるものの額の合計額を控除した額(当該控除した額が零未満となる場合は、零とする。)

外国保険会社等 日本における貸借対照表の純資産の部の剰余金の額から翌年度の本店への送金予定額及びこれに準ずるものの額の合計額を控除した額(当該控除した額が零未満となる場合は、零とする。)

t

繰延税金資産及び繰延税金負債(税効果会計の適用により負債として計上されるものをいう。)の計算に用いた法定実効税率(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号。別表第7において「財務諸表等規則」という。)第8条の12第1項第2号に規定するものをいう。)

外国保険会社等及び引受社員にあっては、持込資本金等(日本における保険業の貸借対照表上の持込資本金及び剰余金(翌年度の本店への送金予定額を除く。)の額の合計額をいう。)

負債性資本調達手段等(次に掲げるものの額の合計額をいう。)

負債性資本調達手段で、次に掲げる性質のすべてを有するもの

(1)

無担保で、かつ、他の債務に劣後する払込済みのものであること。

(2)

第9項に規定する場合を除き、償還されないものであること。

(3)

損失の補てんに充当されるものであること。

(4)

利払の義務の延期が認められるものであること。

期限付劣後債務(契約時において償還期間が5年を超えるものに限る。)

5.

前項第1号及び第5号に掲げる額(特定負債性資本調達手段を除く。)の合計額が、算入限度額(繰延税金資産算入基準額から不算入額を控除した残額をいう。第7項において同じ。)から第1項第3号に掲げる額及び再保険契約(次に掲げる要件の全てに該当するものをいい、規則第71条第3項に規定する再保険に係るものを除く。以下この項及び第1条の3において同じ。)に係る未償却出再手数料(保険会社が受再保険会社(再保険を引き受ける保険会社又は外国保険業者(法第2条第6項に規定する外国保険業者をいい、外国保険会社等及び引受社員を除く。)をいう。以下この項及び第1条の3において同じ。)から収受した手数料のうち、当該再保険契約により再保険に付した部分に係る将来の収益又は利益から受再保険会社に支払うものをいう。以下この項及び第1条の3において同じ。)の残高を控除した残額(以下「中核的支払余力」という。)を超過する場合には、前項の規定にかかわらず、規則第86条第1項第7号第161条第1項第7号及び第190条第1項第7号に規定する金融庁長官の定めるものの額は、前項各号に掲げる額から当該超過する額を控除した額とする。

未償却出再手数料及びこれに附帯して保険会社が支弁する費用その他これに準ずるものを受再保険会社に将来支払うことを約するものであること。

保険会社が、元受保険契約(保険会社が引き受ける保険契約をいう。)に係るリスクのうち、当該再保険に付された部分に係るリスクの一部を移転するものであること(元受保険契約のリスクの全部を出再割合に応じて移転する場合を除く。)

6.

前項の「特定負債性資本調達手段」とは、第4項第5号イに規定する負債性資本調達手段のうち、利払の義務が非累積型(延期された利払を行う必要がないものをいう。)又は累積型(延期された利払が累積し、翌期以降において当該利払を行う必要のあるものをいう。)のものであって利払の義務の延期に制限がないものをいう。

7.

第4項第3号に掲げる額については、同項の規定にかかわらず、算入限度額を限度として算入できるものとする。

8.

第4項第5号ロに掲げるもの(残存期間が5年以内になったものにあっては、毎年、残存期間が5年になった時点における帳簿価額の20/100に相当する額を累積的に減価するものとする。)については、中核的支払余力の50/100に相当する額を限度として算入することができるものとする。

9.

第4項第5号イ及びロに掲げるものについては、同号イに掲げるものの償還又は同号ロに掲げるものの期限前償還(以下「償還等」という。)の特約が付されている場合には、当該償還等が債務者である保険会社の任意によるものであり、かつ、次のいずれかのときに限り償還等を行うことができるものに限り、同号イ及びロに掲げるものに該当するものとする。

当該償還等を行った後において当該保険会社が十分な保険金等の支払能力の充実の状況を示す比率(保険業法第132条第2項に規定する区分等を定める命令(平成12年総理府令・大蔵省令第45号)第2条第2項第4条第2項第5条第2項に規定する保険金等の支払能力の充実の状況を示す比率をいう。次条及び第2条において同じ。)を維持することができると見込まれるとき

当該償還等の額以上の額の資本金等(法第130条第1号第202条第1号又は第228条第1号に掲げるものをいう。)(法第130条第1号第202条第1号又は第228条第1号に掲げるものをいう。)の調達を行うとき

10.

第4項第5号イ及びロに掲げるものについて、あらかじめ定めた期間が経過した後に一定の金利(以下この項において「ステップ・アップ金利」という。)を上乗せする特約を付す場合において、当該ステップ・アップ金利が過大なものであるために、債務者である保険会社が償還等を行う蓋然性が高いと認められるときは、最初に償還等が可能となる日を償還期日とみなす。


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